5 軍事情報の収集
新たな脅威や多様な事態をはじめとする各種事態で防衛力を効果的に運用するためには、各種事態の兆候を事前に察知し、迅速・的確な情報の収集・分析・共有を行うことがより一層求められている。そのため、わが国の安全保障の観点からは、より広範で総合的な情報能力が必要となっている。
これらを踏まえ、防衛省・自衛隊では、情報収集手段の多様化を図るとともに、各種情報の総合的な分析・評価に努めている。情報収集活動の例としては、1)わが国上空に飛来する軍事通信電波や電子兵器の発する電波などの収集・処理・分析、2)高分解能商用衛星画像データの収集・解析
8、3)艦艇・航空機などによる警戒監視、4)各種公刊情報の収集・整理、5)各国国防機関などとの情報交換、6)防衛駐在官などによる情報活動
9などがあげられる。また、安全保障環境や技術動向などを踏まえた多様な情報収集能力や総合的な分析・評価能力などを強化するため、人材の育成や各種情報収集器材・装置などの充実を図るとともに、情報能力を支える情報本部をはじめとする情報部門の体制の充実を図っている。
8)わが国独自の画像情報収集能力を強化するため、これまでに5基の情報収集衛星が打ち上げられ、防衛省においても、情報収集衛星から得られる情報を適切に活用している。
9)10(平成22)年5月末現在、防衛省から外務省に出向した自衛官である防衛駐在官49名が、38か所の在外公館に派遣されており、自衛官の経験などを生かし、派遣された国の国防関係者や各国の駐在武官との交流を通じて軍事情報の収集などを行っている。