2 防衛力の基本的な事項
防衛力が先に述べたような役割を果たすため、16大綱では、次の基本的な事項をあげている。
(1)統合運用の強化
新たな安全保障環境のもと、新たな脅威や多様な事態に速やかに対応し、自衛隊の任務を迅速かつ効果的に遂行するためには、当初から各自衛隊を一体的、有機的に運用する統合運用体制を強化することが必要である。
このため、統合幕僚監部の設置、教育訓練、情報通信などの各分野における統合運用基盤の確立、統合運用の強化にあわせた既存の組織などの見直し、効率化を図ることとしている。
参照 III部1章1節4
(2)情報機能の強化
多機能で弾力的な実効性のある防衛力を機能させるためには、各種事態の兆候を早期に察知するとともに、迅速・的確な情報集約・共有など、高度な情報能力の保有とその十分な活用が不可欠である。
このため、安全保障環境や技術動向などを踏まえた高度で多様な情報収集能力や、総合的な情報分析・評価能力などの強化を図るとともに、その能力を支える情報本部をはじめとする情報部門の体制を充実することにより、高度な情報能力を構築することとしている。
参照 III部1章2節6
(3)科学技術の発展への対応
多機能で弾力的な実効性のある防衛力を実現するためには、情報・科学技術の進歩にともなう各種技術革新の成果を的確に反映させることが必要である。特に、内外の優れた情報通信技術に対応し、先に述べた統合運用の推進に不可欠となる確実な指揮命令と迅速な情報共有を進めるとともに、運用および体制の効率化を図るため、サイバー攻撃にも対処できる高度な指揮通信システムや情報通信ネットワークを構築することとしている。
参照 本章6節2
(4)人的資源の効果的な活用
限られた人的資源でより多くの成果を達成するためには、自衛隊の任務の多様化・国際化、装備の高度化などに対応できるよう、質の高い人材の確保・育成を図り、必要な教育訓練を実施することとしている。
また、安全保障問題に関する研究・教育を推進するとともに、その人的基盤を強化することとしている。
参照 III部4章1節