第I部 わが国を取り巻く安全保障環境 

7 ネパール情勢

 ネパールでは、96(同8)年以来、ネパール共産党毛沢東主義派(マオイスト)による武装闘争により多数の死傷者が発生していた。06(同18)年4月、民主化運動により新政府が誕生し、同年11月には、同政府とマオイストとの間で包括和平合意が署名された。同協定を受けて、国連安保理決議第1740号に基づき、国連ネパール政治ミッション(UNMIN:United Nations Mission in Nepal)が展開し、武器および兵士の管理状況を監視するなどしている。
 なお、08(同20)年4月には、制憲議会選挙が行われ、王制から連邦民主共和制へ移行した。この選挙では、マオイストが最大議席を獲得し、同年8月に同派を中心とする連立政権が成立したが、和平プロセスをめぐって政党間の対立が続いた。09(同21)年5月には国軍参謀長の去就をめぐる対立の結果、マオイストは野党に下り、共産党(UML:Unified Marxist-Leninist)を中心とする連立政権が誕生した。和平プロセスに関しては、10(同22)年1月、マオイストを含む主要政党の幹部により、協議を行うための枠組が構築されたが、和平プロセスの進展に向けての課題は依然として山積している。

 

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