平成21年版 日本の防衛 ダイジェスト 

第I部 わが国を取り巻く安全保障環境

 今日の国際社会は、国家間の相互依存関係が深化し、地域紛争、国際テロ、大量破壊兵器の拡散などに対して国際社会が協力して取り組むことが重要である。また、アジア太平洋地域では、不透明・不確実な要素が存在し、重層的な取組の促進・発展が重要である。

第1章 国際社会の課題

 各国は、テロとの闘いを継続しているが、依然としてテロは世界各地で発生している。米国は、アフガニスタンおよびパキスタンに対する新たな戦略に基づく取組を進めている。

 大量破壊兵器や弾道ミサイルの移転・拡散が大きな脅威となる。特に、抑止が有効に機能しにくいテロ組織による大量破壊兵器の取得・使用も懸念されている。

 イラクでは、治安の改善が見られ、イラク政府による国民融和促進のための取組が進められている。

 複雑で多様な地域紛争が世界各地で発生しており、ソマリア沖などでは海賊行為が多発している。今後、エネルギー資源の獲得競争や気候変動の問題が地域紛争の原因となる可能性がある。また、宇宙空間・サイバー空間での活動や疫病の流行が安全保障上の問題となっている。

第2章 諸外国の国防政策など

 米国のオバマ新政権は、同盟関係を強化・拡大するとともに、全ての国力を利用し、諸課題に対処するとしている。

 北朝鮮は、核兵器や弾道ミサイルの開発(核実験、ミサイル発射など)などを進めるとともに、これらの移転・拡散も懸念される。

 中国は、軍事力の近代化(ミサイル戦力、航空戦力など)に努め、海洋における活動を活発化させている。また、空母保有に関し軍高官の発言などの動きがある。さらに、宇宙の軍事利用やサイバー戦能力の向上にも努めている。一方、国防費の詳細や軍事力の将来像は不明確である。
 
昨年10月に津軽海峡を通過した中国艦艇の航跡

 ロシアは、軍改革を引き続き推進している。また、わが国周辺のロシア軍の活動は活発化の傾向が見られる。

 インドは、国際協力の強化や軍事交流の進展に努め、国際社会における存在感が高まっている。

 オーストラリアは、近隣地域のほか、中東地域などの安全保障問題解決への国際的な取組に軍を派遣し、積極的に関与している。

 

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