第III部 わが国の防衛のための諸施策 

2 イラク特措法に基づく自衛隊の活動の成果

 自衛隊は、03(同15)年12月から、イラク特措法に基づき、困難な状況におかれた住民のため、医療、給水、学校・道路等公共施設の復旧・整備および人道復興物資等の輸送などの支援を行い、イラクの自主的な国家再建に向けた取組に寄与してきた。06(同18)年6月、政府は、ムサンナー県において、イラク人自身による自立的な復興の段階に移行したものと判断し、陸自の任務を終了させることを決定し、同年9月、約2年半におよぶ陸自の部隊による活動を終えた。

参照 資料49

 また、空自の部隊は、イラクの復興および安定に協力するため、ムサンナー県に派遣された陸自の部隊、国連、多国籍軍などに対する空輸支援を行ってきたが、政府が昨年11月に、空輸支援がその目的を達成したと判断し、年内に空自の任務を終了させることを決定したことをうけ、同年12月、約5年に及ぶ空輸任務を終えた。
 活動終了までの輸送実績は、輸送回数821回、輸送人員約4万6,500人、輸送物資重量約673トンに上った。

 自衛隊による人的貢献と政府開発援助による支援は、「車の両輪」として進められ、イラクの民主的な政府の樹立、治安状況の改善、イラク人自身の手による自立的な復興の進展など、目に見える成果が得られ、また、イラクをはじめとする国際社会から高い評価を得た。
 自衛隊による活動が、イラク国家の再建に寄与することができたこと、また、イラクにおける国際社会による取組の中で、自衛隊が各国から信頼される形で一定の役割を果たすことができたことは、平素からの訓練の成果を生かして、自衛隊が国際平和協力活動を着実に行ってきた結果であると考えている。
 また、03(同15)年12月の任務開始以来、約5年にわたる活動期間を通じて、高温や砂塵などの過酷な環境のもと、一人の犠牲者を出すこともなく任務を完遂し、イラクをはじめとする国際社会から高い評価を得たことは、隊員一人一人が与えられた任務を確実に遂行した成果である。
 今般、民主的な政府のもとで、イラク国民自身の手による自立的な復興が進められている中で自衛隊が活動を終了できたことは、本来任務化された国際平和協力活動に従事する自衛隊にとっても貴重な経験であった。
 防衛省・自衛隊は、この経験を踏まえ、今後とも国際平和協力活動を積極的に推進していくことが必要であると考えている。

 

前の項目に戻る     次の項目に進む