第III部 わが国の防衛のための諸施策 

2 沖縄に所在する在日米軍施設・区域

 本年1月現在、在日米軍施設・区域(専用施設)の面積の約74%が沖縄県に集中し、県面積の約10%、沖縄本島の約18%を占めている。沖縄における在日米軍施設・区域の集中に関連する諸課題については、内閣の最重要課題の一つとして政府をあげて取り組んでいる。防衛省も、従来から、日米安保条約の目的達成と地元の要望との調和を図りつつ、問題解決のためさまざまな施策を行い、最大限の努力をしてきている。
 中でも、日米両国政府がまとめた「沖縄に関する特別行動委員会」(SACO)最終報告の内容を着実に実現することが、沖縄県民の負担軽減のためには最も確実な道であると考えており、引き続き、その的確かつ迅速な実現に向けて努力を続けている。

参照 本節2

(1)SACO設置以前における整理・統合・縮小への取組
 72(昭和47)年、沖縄の復帰にともない、政府は、日米安保条約に基づき、83施設、約278km2を在日米軍施設・区域(専用施設)として提供した。一方、沖縄県に在日米軍施設・区域が集中し、地域の振興開発や計画的発展に制約が生ずるとともに、県民生活に多大の影響が出ているとして、その整理・縮小が強く要望されてきた。
 このような状況を踏まえ、日米両国は、地元の要望の強い事案を中心に、整理・統合・縮小の努力を継続的に行ってきた。72(同47)年の佐藤・ニクソン共同発表における確認事項を踏まえ、73(同48)年、74(同49)年、76(同51)年の日米安全保障協議委員会(SCC)において、沖縄県における在日米軍施設・区域の整理統合計画が了承された。また、90(平成2)年、いわゆる23事案については、返還に向けて必要な調整・手続きを進めることを、日米合同委員会で合意した。一方、県民の強い要望である、いわゆる沖縄3事案(那覇港湾施設の返還、読谷(よみたん)補助飛行場の返還、県道104号線越え実弾射撃訓練の移転)についても、95(同7)年の日米首脳会談での意見の一致により、解決に向けて努力することになった。

参照 資料42

(2)SACO設置などの経緯
 95(同7)年に起きた不幸な事件や、これに続く沖縄県知事の駐留軍用地特措法に基づく署名・押印の拒否などを契機として、全国的にも沖縄に関する諸問題に対する世論の関心が高まった。
 政府は、沖縄県民の負担を可能な限り軽減し、国民全体で分かち合うべきであるとの考えのもと、沖縄県の将来発展のため、在日米軍施設・区域の整理・統合・縮小に向けて一層の努力を払うとともに、振興策についても全力で取り組むこととした。そして、沖縄県に所在する在日米軍施設・区域にかかわる諸課題を協議する目的で、同年、国と沖縄県との間に「沖縄米軍基地問題協議会」を、また、日米間にSACOを設置した。
 その後、約1年をかけて集中的な検討が行われ、96(同8)年、いわゆるSACO最終報告が取りまとめられた。

参照 資料43

(3)SACO最終報告の概要および進捗状況
 SACO最終報告の内容は、土地の返還(普天間飛行場など計6施設の全部返還、北部訓練場など5施設の一部返還)、訓練や運用の方法の調整(県道104号線越え実弾射撃訓練の本土演習場での分散実施など)、騒音軽減、地位協定の運用改善である。SACO最終報告が実施されることにより返還される土地は、沖縄県に所在する在日米軍施設・区域の面積の約21%(約50km2)に相当し、復帰時からSACO最終報告までの間の返還面積約43km2を上回るものとなる。
 SACO最終報告の関連施設・区域および主な進捗状況については、図表III-2-2-18および図表III-2-2-19のとおりである。
 
図表III-2-2-18 SACO最終報告の主な進捗状況
 
図表III-2-2-19 SACO最終報告関連施設・区域

 以上のような取組の結果、沖縄在日米軍施設・区域(専用施設)の件数および面積は、図表III-2-2-20のとおり推移している。
 
図表III-2-2-20 沖縄在日米軍施設・区域(専用施設)の件数および面積の推移

 防衛省では、今後とも、地元の理解と協力を得ながら、SACO最終報告の実現に向け、最大限の努力を払っていく。

(4)駐留軍用地跡地利用への取組
 防衛省は、駐留軍用地の返還にあたり、従来から、建物、工作物の撤去などの原状回復措置や駐留軍用地返還特措法に基づき、跡地の所有者などに対する給付金の支給などの措置を行ってきた。また、沖縄振興特別措置法(02(同14)年施行)に基づき、大規模跡地または特定跡地に指定された跡地の所有者などに対し給付金を支給することとなっている。
 また、01(同13)年12月に取りまとめられた「普天間飛行場の跡地利用の促進及び円滑化等に係る取組分野ごとの課題と対応方針」などを踏まえ、関係市町村において跡地利用計画の策定に向けた取組がなされており、06(同18)年2月には沖縄県、宜野湾市において、普天間飛行場跡地利用基本方針が策定された。
 防衛省としては、今後とも、関係府省および県や市町村と連携・協力して、跡地利用の促進と円滑化などに取り組んでいくこととしている。

 

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