第III部 わが国の防衛のための諸施策 

2 日米の役割・任務・能力(第2段階)

(1)役割・任務・能力についての基本的考え方
 「新たな脅威や多様な事態への対応を含む日本の防衛および周辺事態への対応」および「国際的な安全保障環境の改善」に関連する基本的考え方は、図表III-2-2-4およびIII-2-2-5のとおりである。この2つの重点分野への対応の重要性の高まりを踏まえ、日米は、それぞれの防衛力を向上し、技術革新の成果を最大限に活用することとされた。
 
図表III-2-2-4 新たな脅威や多様な事態への対応を含む日本の防衛・周辺事態への対応における日米協力
 
図表III-2-2-5 国際的な安全保障環境の改善のための取組における日米協力

(2)日米間の安全保障・防衛協力において向上すべき活動の例
 あらゆる側面での日米協力強化の必要性について再確認し、さらなる向上のための鍵となるいくつかの個別分野を図表III-2-2-6のとおり具体例として強調した。
 
図表III-2-2-6 二国間の安全保障・防衛協力において向上すべき活動の例

 これらは、可能な協力分野を包括的に列挙したものではなく、明記されていないほかの分野も引き続き重要である。
(3)日米の安全保障・防衛協力の態勢を強化するための不可欠な措置
 新たな安全保障環境において多様な課題に対処するためには、日米間の安全保障・防衛協力の態勢を強化することが重要であり、そのために図表III-2-2-7のとおり、平時からとり得る不可欠な措置を特定した。
 
図表III-2-2-7 二国間の安全保障・防衛態勢を強化するための不可欠な措置

(4)日米の安全保障・防衛協力の強化・拡大
 今後、「日米防衛協力のための指針」(「指針」)の下での日米協力、また、適切な場合には、現在「指針」で取り上げられていない追加的な分野における日米協力の実効性を強化し、改善することとした。
参照 3節2

 また、06(同18)年5月の「2+2」会合においても、二国間の安全保障・防衛協力の実効性を強化し、改善することの必要性が強調されたほか、確固たる同盟関係を確保し、同盟の能力を向上するために、安全保障・防衛協力のあり方を検討する重要性が強調された。
 さらに、07(同19)年5月の「2+2」共同発表においては、05(同17)年10月の「共同文書」に示された同盟の変革に沿った役割・任務・能力が確認されるとともに以下が強調された。
○ 自衛隊による国際平和維持活動、国際緊急援助活動および周辺事態への対応の本来任務化
○ 変化する安全保障環境を反映し、また、地域の危機において共に行動する自衛隊および米軍がより良い態勢をとるための、より具体的な計画検討作業の持続的な進展
○ 軍事情報包括保護協定(GSOMIA:General Security of Military Information Agreement)としても知られる、秘密軍事情報の保護のための秘密保持の措置に関する両政府間の実質的合意1
○ 二国間の化学・生物・放射線・核(CBRN:Chemical, Biological, Radiological, Nuclear)防護作業部会の設立
○ 危機およびそれ以前における、政策、運用、情報および広報に係る方針を調整するための、柔軟な二国間の省間調整メカニズムの構築
○ 相互運用性を強化し同盟の役割・任務・能力を推進させるための、二国間の共同訓練の実施


 
1)07(平成19)年8月10日、日米間で署名を行い、締結された。
http://www.mofa.go.jp/mofaj/area/usa/hosho/kyotei_0708.html


 

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