1 弾道ミサイル攻撃などへの対応
国際社会における弾道ミサイルや大量破壊兵器の不拡散のためのさまざまな努力にもかかわらず、依然として拡散は進展している。
わが国周辺では、中国、ロシアとも相当数の弾道ミサイルを配備している。また、北朝鮮は、06(平成18)年には7発の弾道ミサイルを発射するとともに、本年4月5日には「試験通信衛星」の打上げと称して1発を発射し、弾道ミサイルによる脅威が現実のものであることが改めて確認された。
参照 I部2章2節、
資料1〜
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こうした背景から、わが国は弾道ミサイル攻撃などへの対応に、より万全を期すため、平成16年度から弾道ミサイル防衛(BMD:Ballistic Missile Defense)システムの整備を開始し、05(同17)年には、自衛隊法の所要の改正を行った。また、同年、安全保障会議と閣議において、BMD用能力向上型迎撃ミサイルの日米共同開発に着手することを決定した。
07(同19)年のイージス艦
1「こんごう」のスタンダード・ミサイル(SM-3:Patriot Advanced Capability-3)の発射試験成功に引き続き、昨年11月にはイージス艦「ちょうかい」が米国ハワイ州カウアイ島沖でSM-3の発射試験を行った。同試験においてはSM-3の弾頭部分の不具合により、標的である模擬弾道ミサイルには命中しなかったものの、「ちょうかい」のイージスBMDシステムは正常に作動したことが確認された。
また、昨年9月には米国ニューメキシコ州ホワイトサンズ射場においてペトリオットPAC-3
2ミサイルの発射試験を行い、弾道ミサイル模擬標的の迎撃に成功した。
イージス艦2隻への弾道ミサイル対処能力の付与に加え、ペトリオットPAC-3の発射試験が成功するなど、弾道ミサイル攻撃に対するわが国独自の多層防衛体制の整備は着実に進展している。
(図表III-1-2-1 参照)
2)ペトリオットPAC-3は、経空脅威に対処するための防空システムの1つであり、主として航空機を迎撃目標としていた従来型のPAC-2と異なり、主として弾道ミサイルを迎撃目標とするシステム