第III部 わが国の防衛のための諸施策 

3 国民の保護における自衛隊の役割

 指定行政機関である防衛庁(当時)および防衛施設庁(当時)は、国民保護法および基本指針に基づき、05(同17)年に国民保護計画2を策定した。武力攻撃事態において、自衛隊は主たる任務である武力攻撃の排除を全力で行うとともに、国民保護措置については、これに支障のない範囲で、住民の避難・救援の支援や武力攻撃災害への対処を可能な限り行う。

参照 資料26

(1)国民保護等派遣など
ア 派遣の手続き
 防衛大臣は、都道府県知事からの要請を受け、事態やむを得ないと認める場合、または対策本部長3から求めがあった場合は、内閣総理大臣の承認を得て、部隊などに国民保護等派遣を命令し、国民保護措置を行わせる。
(図表III-1-1-4 参照)
 
図表III-1-1-4 国民保護等派遣の仕組み

 また、武力攻撃事態において防衛出動が命ぜられている場合や緊急対処事態において治安出動が命ぜられている場合には、防衛出動や治安出動の一環として、国民保護措置または緊急対処保護措置を行う。

イ 権 限
 国民保護等派遣を命ぜられた部隊などの自衛官は、警察官など4がその場にいない場合に限り、警察官職務執行法に定められた避難等の措置などの権限を行使することができる。また、市町村長などがその場にいない場合に限り、退避の指示などの権限を行使することができる。

ウ 部隊の臨時編成など
 防衛大臣は、国民保護等派遣に際して、必要に応じ特別の部隊の臨時編成、即応予備自衛官および予備自衛官に対する招集命令を発令することができる。

エ 緊急対処保護措置
 緊急対処事態においても、国民保護法や基本指針などに基づき、武力攻撃事態等における措置と同様の措置を行うことができる。

(2)自衛隊が行う措置の内容
ア 住民の避難
 必要な情報を収集・提供するとともに、関係機関と連携して、避難住民の誘導や運送を行う。

イ 避難住民などの救援
 捜索・救出など人命救助関係の措置を中心に、対策本部長などからの求めにより、医療活動の支援や、必要に応じて炊き出し、給水など生活支援関係の措置などを行う。

ウ 武力攻撃災害への対応
 被害状況の確認、モニタリング支援、人命救助、被害の拡大防止、核・生物・化学(NBC:Nuclear, Biological and Chemical)攻撃などによる危険物質の除去などを行う。このほか、生活関連等施設の安全確保のための支援などを行う。

エ 応急の復旧
 防衛省の所管する施設および設備の応急の復旧を行うとともに、都道府県知事などからの要請により、危険ながれきの除去などの支援を行う。


 
2)防衛省国民保護計画
http://www.mod.go.jp/j/library/archives/keikaku/kokumin_hogo.pdf>参照

 
3)対策本部長は内閣総理大臣となっているが、両者は別人格として規定されている。

 
4)警察官、海上保安官または海上保安官補


 

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