第II部 わが国の防衛政策の基本と防衛力整備 

5 武器輸出三原則等

 防衛大綱の策定の際に発出された官房長官談話の中で、武器輸出管理に関する事項としてBMDシステムに関する案件については、日米安保体制の効果的な運用に寄与し、わが国の安全保障に資するとの観点から、共同で開発・生産を行うこととなった場合には、厳格な輸出管理を行う前提で武器輸出三原則等によらない、との言及がなされている1

参照 資料1112

 また、あわせて、防衛大綱策定の過程で問題提起があった米国との共同開発・生産案件やテロ・海賊対策支援などに資する案件については、今後、国際紛争などの助長を回避するという平和国家としての基本理念に照らし、個別の案件ごとに検討の上、結論を得ることとされた2
 なお、武器の輸出管理については、武器輸出三原則等のよって立つ平和国家としての基本理念にかんがみ、今後とも引き続き慎重に対処するとの方針を堅持していく旨についても同談話の中で明らかにしている。


 
1)この談話も踏まえつつ、BMDについての海上配備型上層システムにかかわる日米共同技術研究については、05(平成17)年12月24日の安全保障会議および閣議において、平成18年度から日米共同開発に移行することが決定された。また、同日発出された、官房長官談話においては、「本件日米共同開発において米国への供与が必要となる武器については、武器の供与のための枠組みを今後米国と調整し、厳格な管理の下に供与する」こととされた。これを受けて06(同18)年6月、従来「対米武器技術供与取極」の下で供与が可能であった「武器技術」に加えて、日米BMD共同開発などのための武器・武器技術を対象として供与の枠組を定める「対米武器・武器技術供与取極」が日米政府間で締結された。(III部1章2節1III部2章3節5参照)

 
2)06(平成18)年6月、インドネシア共和国に対するテロ・海賊行為などの取締り・防止に対する支援として、武器輸出三原則等における武器等に当たる巡視船艇にかかわる無償資金協力が決定された。この時発出された官房長官談話において、当該巡視船艇の輸出については、「相手国政府との国際約束で、テロ・海賊行為などの取締り・防止に限定して使用されることおよびわが国政府の事前同意なく第三者に移転しないことが担保されること」を条件として、武器輸出三原則等によらないこととされている。


 

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