第I部 わが国を取り巻く安全保障環境 

2 ドイツ

 06(同18)年10月に12年ぶりに発行された「国防白書」において、ドイツは、連邦軍の中心任務は引き続き伝統的意味における自国防衛および集団防衛であるが、国際テロや大量破壊兵器の拡散などの新たな脅威が拡大している現状を踏まえ、国際テロとの闘いを含めた紛争予防および危機管理が最も生起する可能性の高い任務であるとしている。
 ドイツは、連邦軍の能力を上記の任務に適合させるため、戦略輸送能力、世界規模での偵察能力、効率的で相互運用性の高い指揮能力などの強化に資源を重点配分することとしており、具体的には、A-400M輸送機の導入計画が進められているほか、5機の合成開口レーダー搭載衛星SAR-LUPEを昨年7月までに打上げ完了している。また、軍を介入部隊、安定化部隊、支援部隊という3つの機能別の統合部隊へ再編する5ほか、人員の削減、国内駐屯地・施設の再配置などに取り組んでいる。


 
5)介入部隊は、最新の装備を有する即応部隊であり、NATO即応部隊やEUバトルグループの作戦など多国間で実施される高強度の作戦において、軍事的によく組織された敵に対応し、平和安定化作戦の実施基盤を整える。安定化部隊は、低・中強度の比較的長期間にわたる作戦において、軍事的にある程度組織された敵に対応し、平和安定化作戦を遂行する。支援部隊は、指揮組織や教育訓練組織の運営を行うなど、介入部隊と安定化部隊の作戦準備および作戦遂行をドイツ国内や作戦地域で支援する。


 

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