第I部 わが国を取り巻く安全保障環境 

6 教育・訓練などの状況

 人民解放軍は、近年、運用面においても近代化を図ることなどを目的として実戦的な訓練の実施を推進しており、陸・海・空軍間の協同演習や上陸演習などを含む大規模な演習も行っている。02(同14)年からは、それまでの軍事訓練大綱を改定した「軍事訓練および評価大綱」が施行され、科学技術を主体として訓練内容を改革するとともに、絶えず新しい訓練の形式を推進することとされた。また、06(同18)年に開かれた全軍軍事訓練会議において、機械化条件下の軍事訓練から情報化条件下の軍事訓練への転換の推進が強調された。昨年公布された、新たな「軍事訓練および評価大綱」では、複数の軍種による統合訓練のほか、非戦争軍事行動の訓練、情報化に関する知識・技能の教育、ハイテク装備のシミュレーション訓練、ネットワーク訓練、電子妨害が行われるなどの複雑な電磁環境下での訓練などが重視されている。
 人民解放軍は、教育面でも、科学技術に精通した軍人の育成を目指している。03(同15)年から、情報化作戦の指揮や情報化された軍隊の建設などを担うための高い能力を持つ人材を育成するための軍隊の人材戦略プロジェクトが推進されており、20(同32)年にかけて、人材建設の大きな飛躍を成し遂げるという目標を掲げている。人民解放軍で近年行われているとみられる給与水準の向上には優秀な人材を確保する目的があると考えられる。また、00(同12)年から、優秀な高学歴者を確保するため、一般大学の大学生に奨学金を給付して卒業後に将校として入隊させる制度も導入されている。

 

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