第III部 わが国の防衛のための諸施策 

(VOICE)災害派遣(新潟県中越沖地震)に従事した隊員の声(空自)

航空自衛隊 航空救難団飛行群新潟救難隊 3等空佐 西村直樹(にしむらなおき)


 昨年7月16日、海の日の祝日、自宅でのんびり寛いでいた私は、“ぐらっ”という強い揺れとともに、すぐに「地震だ、でかいぞ。」と感じました。テレビの速報で、ここ新潟で震度6強の地震が起きたことを知り、すぐさま部隊へ駆けつけました。
 私は、地震の被害状況などの情報を上空から収集する命令を受け、捜索・救難ヘリコプター(UH-60J)を操縦して、新潟空港から現場に向かいました。柏崎市周辺では土砂崩れで道路や線路が遮断され、家屋の倒壊などの深刻な被害状況を確認しました。また、新潟救難隊は被災者への救援を実施するとともに、万一の大規模余震の発生に備え、待機を継続しました。
 新潟県知事の現地視察に際しては、悪天候のため通常の移動手段が確保できないことから、私が県知事を空輸する任務を命ぜられました。しかし、雨と低くたれ込めた厚い雲のため陸上部上空の飛行は困難と判断し、雨雲をよけて洋上、海岸線沿いを飛行し、空輸任務を遂行することができました。
 自然災害はいつ発生するか予測困難です。そのため、我々救難部隊が常に出動できる態勢を保ち、速やかに対処することで被害の局限を図り、被災者への迅速な支援に繋がることを痛感しました。
 この経験を通じて、“国民を守る”という崇高な任務を改めて自覚するとともに、大きなやりがいと重い責任を感じました。今後とも日々訓練に励んでいきたいと思います。
 
UH-60J操縦席の西村3佐

 

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