第IV部 防衛省改革 

2 イージスシステムに係る特別防衛秘密流出事案


 昨年1月、護衛艦「しらね」乗組員の自宅から、秘密の疑いのある情報を記録した外付ハードディスクが発見され、捜査の結果、昨年12月、海上自衛官がイージスシステムに係る特別防衛秘密を漏えいした容疑で逮捕されるとともに、海上自衛官4名が書類送致された。
 本事案発生の背景にある問題点としては、1)規則違反や秘密資料の安易な複製など、隊員の保全意識が欠如、2)秘密にかかわる教育の無許可での実施など、秘密保全態勢が不備、3)前述のインターネットを通じた情報流出事案を受けた再発防止に係る抜本的対策の実施以前であり、パソコンなどの管理態勢が不備、4)管理者及び保全責任者の指揮監督などが不十分、といったことが考えられる。
 本事案については調査の結果、特別防衛秘密の自衛隊外への流出は確認されなかったものの、イージスシステムにかかわる秘密情報が多数の隊員へ流出するなど外部流出のおそれも否定できない状況が存在していたことは、情報保全にかかわる極めて重大な問題であり、海上自衛隊、ひいては防衛省全体としての情報保全態勢に対する国民の大きな不信を招くとともに、日米安全保障体制や関係国との関係にも影響を及ぼしかねないものであった。また、自衛隊内においても、隊員の士気に多大な影響を与えることとなった。
 防衛省においては、本事案の事実関係などにつき調査を行い、本年3月、公表した1ところである。


 
1)<http://www.mod.go.jp/j/sankou/report/2008/pdf/080321a.pdf


 

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