第III部 わが国の防衛のための諸施策 

4 軍事情報の収集


 新たな脅威や多様な事態への実効的な対応をはじめとして各種事態において防衛力を効果的に運用するためには、各種事態の兆候を事前に察知し、迅速・的確な情報収集・分析・共有を行うことがより一層求められており、わが国の安全保障の観点から、より広範かつ総合的な情報能力が必要となっている。
 このため、防衛省・自衛隊では、情報収集手段の多様化を図るとともに、各種情報の総合的な分析・評価に努めている。具体的な情報収集活動の例としては、1)わが国上空に飛来する軍事通信電波や電子兵器の発する電波などの収集・処理・分析、2)高分解能商用衛星画像データの収集・解析、3)艦艇・航空機などによる警戒監視、4)各種公刊情報の収集・整理、5)各国国防機関などとの情報交換、6)防衛駐在官などによる情報活動5などを行っている6
 防衛省・自衛隊では、今後とも、安全保障環境や技術動向などを踏まえた多様な情報収集能力や総合的な分析・評価能力などを強化するため、人材育成および各種情報収集器材・装置などの充実を図るとともに、その能力を支える情報本部をはじめとする情報部門の体制を充実することとしている。
 また、本年2月には、官邸における情報機能の強化の検討会議において、「官邸における情報機能の強化の方針」が取りまとめられた。防衛省としては、国家安全保障に関する官邸司令塔機能の強化を図る上で、官邸における情報機能の強化は極めて重要との認識の下、本方針に示された政策部門との連接、情報の収集および集約・分析、情報の保全といった施策の実現に協力するとともに、引き続き官邸に対し安全保障上必要な情報の提供を適時適切に行っていく。


 
5)本年5月現在、防衛省から外務省に出向した自衛官である防衛駐在官48名が、37か所の在外公館などに派遣されており、自衛官の経験などを活かし、派遣された国の国防関係者や各国の駐在武官との交流を通じて軍事情報の収集などを行っている。

 
6)わが国の独自の画像情報収集能力を強化するため、06(平成18)年9月11日および昨年2月24日に、それぞれ3基目および4基目となる情報収集衛星の打ち上げが行われた。


 

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