1 弾道ミサイル攻撃などへの対応
近年、国際社会における弾道ミサイルや大量破壊兵器の不拡散のためのさまざまな努力が行われているが、依然として拡散は進展している。また、06(平成18)年7月、北朝鮮が7発の弾道ミサイルを発射し、弾道ミサイルによる脅威が現実のものであることが改めて確認された。
こうした背景から、わが国は弾道ミサイル攻撃などへの対応に、より万全を期すため、04(同16)年度から弾道ミサイル防衛(BMD:Ballistic Missile Defense)システムの整備を開始し、05(同17)年には、自衛隊法の所要の法改正、同年12月には、安全保障会議と閣議において、BMD用能力向上型迎撃ミサイルの日米共同開発に着手することを決定した。
また、昨年12月18日(日本時間)にはイージス艦
1「こんごう」がハワイ・カウアイ島沖において、スタンダード・ミサイル(SM-3)の発射試験を行い、発射された模擬弾道ミサイルを大気圏外において迎撃することに成功した。
これまでのペトリオットPAC-3
2(Patriot Advanced Capability-3)の配備に加え、イージス艦「こんごう」に対する弾道ミサイル能力の付与により、限定的ながら弾道ミサイル攻撃に対するわが国独自の多層防衛体制が整備された。
(図表III-1-2-1参照)
2)ペトリオットPAC-3は、経空脅威に対処するための防空システムの1つであり、主として航空機を迎撃目標としていた従来型のPAC-2と異なり、主として弾道ミサイルを迎撃目標とするシステムである。