3 いわゆる「一般法」をめぐる議論
近年、国際平和協力活動のための一般的な法律の整備をめぐる議論がさまざまな場で活発に行われている。
福田内閣官房長官(当時)の下に設置された「国際平和協力懇談会」が02(平成14)年12月に公表した報告書の中では、国連決議に基づくいわゆる「多国籍軍」へのわが国の協力(たとえば、医療、通信、運輸などの後方支援)について一般的な法整備の検討を開始することなどの提言がなされた。また、小泉総理(当時)の下に設置された「安全保障と防衛力に関する懇談会」が04(同16)年10月に公表した報告書の中では、新たな安全保障戦略を実現するための政策課題の一つとして、「国際平和協力のための一般法の整備」が挙げられた。
一方、06(同18)年8月、自由民主党の防衛政策検討小委員会においては、わが国が主体的かつ積極的に国際平和協力活動に寄与することを目的とするとの「国際平和協力法案」がその後の党内論議のための案として了承された。さらに、本年5月には与党プロジェクトチームの初会合が開かれ、事後、計9回にわたり精力的に議論が行われた結果、翌月には中間報告
1がまとめられた。また、国会においても、同活動に関する一般的な法律の意義や内容についてたびたび議論が行われている。
わが国は、これまでも国際平和協力法などに基づき、さまざまな国際平和協力を行ってきた。一方、国際の平和及び安全を維持するため国際社会が協力して行う活動が多様化してきていることから、必要性が生じるたびに特措法を制定して個別に対応を行ってきたが、あらかじめわが国が行う活動の内容・要件・手続などについて一般的な法律を整備しておくことが、わが国が「平和協力国家」としての役割を果たす上で、迅速かつ効果的に国際平和協力活動を実施していくために望ましく、また、国際平和協力に関するわが国の基本的方針を内外に示す上でも有意義と考えている。
防衛省としては、本件は、与党における議論をはじめ国民的な議論の深まりを十分に踏まえて検討していく課題と認識している。