6 その他の諸国との関係
(1)東南アジア諸国との関係
東南アジア諸国との関係では、引き続き首脳クラスなどの往来が活発であり、中国は、この地域のすべての国との二国間関係の発展を図ってきている
9。また、ASEAN+1(中国)やASEAN+3、ASEAN地域フォーラム(ARF:ASEAN Regional Forum)といった多国間の枠組みにおいても中国は積極的な関与を行っている。中国は、こうした外交の場を利用して、ASEAN諸国との間の経済的、文化的協力関係の深化を進めるとともに、最近では安全保障分野における協力関係を進展させることに積極的である。また、中国は、フィリピンへの工兵機材の供与やカンボジアへの哨戒艇の供与など軍事援助による関係強化も図っている。
(2)中央アジア諸国との関係
中国西部の新疆(しんきょう)・ウイグル自治区は、中央アジア地域と隣接している。カザフスタン、キルギス、タジキスタンの3か国とは直接国境を接しており、それぞれの国境地帯をまたがって居住する少数民族があり、人的交流も活発である。そのため、中国にとって中央アジア諸国の政治的安定やイスラム過激派によるテロなど治安情勢は大きな関心事項であり、01(平成13)年6月に設立されたSCOへの関与は、中国のこのような関心のあらわれと見られる。
(図表I-2-3-1参照)
9)最近の中国と東南アジア諸国との間の主な軍事交流としては、中国とタイの両海軍が05(平成17)年12月に初めて実施した共同捜索救難訓練および昨年7月に両陸軍が実施した中タイ対テロ共同軍事演習、06(同18)年4月に、トンキン湾で中越両海軍艦艇が共同で初めて実施した共同パトロール、曹剛川(そう・ごうせん)国防部長(当時)による昨年9月のフィリピン訪問、本年1月のインドネシア訪問などがある。