第III部 わが国の防衛のための諸施策 

3 殉職隊員への追悼など

 50(昭和25)年、警察予備隊が創設され、保安隊・警備隊を経て今日の自衛隊に至るまで、自衛隊員は、わが国を取り巻く諸情勢の変化に対応するとともに、国民の期待と信頼に応えるべく日夜精励し、旺盛な責任感をもって危険を顧みず、わが国の平和と独立を守る崇高な任務の完遂に努めてきた。その中で、任務の遂行中に、不幸にしてその職に殉じた隊員は、1,700名を超えている。
 防衛省・自衛隊では、殉職隊員が所属した自衛隊の各部隊において、殉職隊員への哀悼の意を表するため、葬送式を実施しており、さらに、このような職に殉じた自衛隊員の功績を永久に顕彰し、深甚なる敬意と哀悼の意を捧げるため、さまざまな形で追悼を行い、残された御遺族への対応を行っている。
 まず、防衛省・自衛隊は、毎年自衛隊記念日またはその前後に、防衛省本省にある慰霊碑地区(「メモリアルゾーン」2)において、自衛隊殉職隊員追悼式を行っている。この式は、殉職隊員の御遺族をはじめ、内閣総理大臣と防衛大臣以下の防衛省・自衛隊高級幹部のほか、歴代の防衛庁長官などが参列して営まれ、内閣総理大臣および防衛大臣などによる追悼の辞、儀じょう隊による弔銃、参列者全員による拝礼などが行われる。また、メモリアルゾーンにある自衛隊殉職者慰霊碑には、殉職した隊員の氏名などを記した銘板が納められている。
 この慰霊碑には、国防大臣などの外国要人が防衛省を表敬した際、献花が行われ、殉職隊員に対して敬意と哀悼の意が表わされており、その数はこれまでに25か国、50人3となっている。また、防衛大臣などの防衛省幹部が離着任する際にも、同様に敬意と哀悼の意が表わされている。
 このほか、自衛隊の各駐屯地および基地において、同様の追悼式などを行っている。
 
自衛隊殉職隊員追悼式に参列する安倍内閣総理大臣(昨年10月)

参照>コラム「内閣総理大臣の殉職隊員葬送式への参列」


 
2)自衛隊殉職者慰霊碑は、62(昭和37)年に建てられ、その後、風化による老朽化が進んだことから、80(昭和55)年に建て替えられた。その後、防衛庁本庁庁舎(当時)の市ヶ谷移転に伴い98(平成10)年、自衛隊員殉職者慰霊碑や市ヶ谷に点在していた記念碑などを慰霊碑地区東方に移設し、「メモリアルゾーン」として整理された。しかし、狭い地積であったため、儀じょう隊を伴った慰霊行事などの実施が難しいなどの問題点があった。このようなことから02(同14)年2月から同地区の整備が開始され、地積を拡大するとともに、休憩所などを新設し、03(同15)年に現在の形に整えられた。メモリアルゾーンは、市ヶ谷記念館、厚生棟、儀じょう広場などとともに市ヶ谷台ツアー(参照>)の見学コースになっており、多くの見学者が訪れている。
 
3)03(平成15)年9月以降本年3月末までの数。

 

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