第III部 わが国の防衛のための諸施策 

2 わが国の取組など

(1)特定通常兵器使用禁止・制限条約(CCW:Convention on Prohibitions or Restrictions on the Use of Certain Conventional Weapons Which May Be Deemed to Be Excessively Injurious or to Have Indiscriminate Effects)

 近年、不発弾などの爆発性戦争残存物(ERW:Explosive Remnants of War)がもたらしうる人道上の危険性を減少させるための交渉や検討などが行われてきた。
 03(同15)年の締約国会議においては、紛争後のERWの危険を減少させるための一般的性格の復旧措置に関する第5議定書が採択され、昨年11月に発効した。
 また、昨年11月の第3回運用検討会議においては、ERWに関して、特にクラスター弾(複数の子弾を内蔵する弾薬)の不発弾がもたらす問題への対応の必要性が認識され、クラスター弾に焦点を当てた議論を行うことが決定された1
 わが国は、クラスター弾の問題については、人道上の問題と防衛上の必要性2のバランスをとりつつ議論を進めていくこととしており、議定書の追加のための議論や交渉の場である締約国会議、政府専門家会合などに防衛省からも随時職員を派遣している。

(2)対人地雷禁止条約

 防衛省・自衛隊は、00(同12)年1月から対人地雷の廃棄を開始し、03(同15)年2月、条約で認められた地雷の探知、除去などの技術開発と訓練のための必要最小限の例外的な保有分を除き、全ての対人地雷を廃棄した。
 他方、わが国の安全保障を確保するため、条約上の対人地雷に該当せず、一般市民に危害を与えるおそれのない代替手段として、対人障害システムの整備を進めており、当面は指向性散弾(しこうせいさんだん)3などと併せて対応することとしている。
 本年2月現在、この条約は153か国が締結しているが、ARF参加国25か国のうち12か国しか締結していない。このため、防衛省としても条約未締結のARF参加国などに対し、条約の締結を働きかけている。
 さらに、防衛省は、例外保有などに関する年次報告を国連に対して行うとともに、関連国際会議などに適宜職員を派遣するなど、国際社会の対人地雷問題への取組に積極的に協力している4

(3)国連軍備登録制度

 防衛省は、毎年、装備品の年間輸入数量を国連に登録するとともに、保有数や国内調達、小型武器の移転に関する情報も自主的に提供している5
 また、この制度の改善・強化のために行われている見直しのための専門家会合などに、適宜職員を派遣している。


 
1)クラスター弾の問題については、現在CCWの枠組みにて、その解決に向けた検討が進められている。なお、CCWの枠外でも、本年2月にオスロにて、さらに5月にもリマにおいて国際会議が開催され、文民へ許容し難い被害をもたらすクラスター弾の使用禁止を求める動きがある。
 
2)長大な海岸線を有するわが国においては、着上陸侵攻を含む多様な事態に際し、広範囲に展開した侵攻部隊を迅速に撃破することが極めて重要であり、また、クラスター弾は、広範な面を迅速に制圧する火力として有効であることから、専守防衛に徹するわが国の防衛上必要なものとして保有している。なお、わが国はクラスター弾を海外で使用することを予定しておらず、国内でのこのような事態においても、適切な住民避難に努めることは当然である。
 
3)敵歩兵の接近を妨害する対歩兵戦闘用爆薬。民間人が無差別に被害を受けないよう隊員が目標を視認して作動させるものであり、人の存在、接近又は接触により爆発するように設計されたものではない
 
4)防衛省は、カンボジアにおける対人地雷除去活動への支援のため、99(平成11)年から06(同18)年12月までの間、退職自衛官を国際協力機構(JICA)に推薦し、この退職自衛官はJICAの長期派遣専門家の枠組みで、カンボジア地雷対策センター(CMAC)の整備・輸送アドバイザーとして派遣されていた。
 
5)05(平成17)年分の報告においては、ARF参加国中、オーストラリア、カナダ、日本、米国及びニュージーランドの5か国のみが、情報提供を行い、このうち小型武器の移転について情報提供したのは、日本だけであった。

 

前の項目に戻る     次の項目に進む