第III部 わが国の防衛のための諸施策 

2 日米政策協議の実績

 05(平成17)年以降の日米政策協議(閣僚級)の実績は、図表III-2-3-2のとおりであり、本年4月30日には、米国ワシントンにおいて久間防衛大臣とゲイツ国防長官の間で防衛相会談が行われたほか、翌5月1日には、久間防衛大臣、ゲイツ国防長官および麻生外務大臣、ライス国務長官との間で「2+2」会合が開かれ、「同盟の変革:日米の安全保障及び防衛協力の進展」と題する共同発表文が公表された。

参照>資料41

 また、閣僚レベルのみならず、日米の実務者レベルにおいても随時協議を行っている。
 
図表III-2-3-2 日米協議(閣僚級)の実績(2005年以降)

(1)日米防衛相会談(本年4月30日)
 久間防衛大臣とゲイツ国防長官の間で行われた会談の概要は、次のとおりである。

ア 在日米軍再編
○ 在日米軍再編が、アジア太平洋地域の平和と安定に不可欠である米軍の安定的なプレゼンス確保を目的として日米間で合意されたものとの共通の認識の下、昨年5月の「ロードマップ」の各再編案をパッケージとして日米合意どおり着実に実施していくことが、同盟関係の信頼性の維持・向上にとって重要であるとの点で一致
○ このような観点から、普天間飛行場の移設・返還、在沖米海兵隊のグアム移転および嘉手納以南の土地返還に関する進捗状況について意見交換を行い、「ロードマップ」に従って早急に実現していくとの認識で一致

イ 秘密保全
 海上自衛隊における情報持ち出し事案の全容解明と再発防止、日米防衛協力関係を強化していく上で、情報共有は重要な基礎であり、これをさらに進めるためには共有情報の保全が不可欠であることなどについて意見交換。また、今後、日米双方で情報保全の強化を図っていくことで一致
 
儀仗を受ける久間防衛大臣とゲイツ国防大臣(本年4月)

ウ F-X
 F-4後継機(いわゆる「F-X」)に関し、米国製の調査対象機種に関する情報提供などについて、可能な協力を求めたのに対し、米側からは、日本が果たすべき役割・任務・能力について日米間で協議しながら、米側としても可能な範囲で協力を行っていきたい旨回答があった。

エ BMD分野における日米協力
 昨年11月の日米首脳会談において両首脳から出された指示を受け、BMD分野における協力強化について確認。特に、日米両国によるBMD関連装備の順次配備を評価するとともに、情報共有など運用協力の面での協力強化を図っていくことで意見が一致

オ イラク復興支援活動
 本年1月米国が発表した新たなイラク政策について、イラクの安定化と復興に向けた米国政策の新しい決意を示したものと評価し、成果を強く期待。また、自衛隊によるイラク復興支援活動を継続していくため、イラク特措法改正案の成立に全力を尽くす旨発言。米側からは、イラク復興支援への協力に対する感謝が示された。

カ テロとの闘い
 インド洋における海自艦艇の活動について、本年4月24日に基本計画を半年間延長したことに対し、米側より、これまでの自衛隊による支援に感謝が示された。

キ 役割・任務・能力
 日米間の協力の実効性を確保するため、役割・任務・能力の検討を継続し、その内容を深化させていくとの認識で一致

(2)日米安全保障協議委員会(「2+2」)(本年5月1日)
 日米の4閣僚による会合の概要は、次のとおりである。

ア 在日米軍の再編
○ 昨年5月の「ロードマップ」について、この1年の作業の進捗および日米合意に従った着実な実施の重要性を確認
○ 各論について、日本側より概要以下のとおり発言し、米側もこれらに同意
 ・普天間飛行場の移設・返還:キャンプ・シュワブ沖の現況調査を開始。日米間の合意の実現に向けて、地元の理解も得ながら着実に実施していきたい。
 ・嘉手納以南の施設・区域の統合:早期に作成できるよう、引き続き作業を進めていきたい。
 ・在沖海兵隊のグアム移転:14(平成26)年の完了に向け、引き続き日米で協力して確実に進めていきたい。
○ 日本側より、米軍再編特措法案の国会への提出などについて説明
○ 横田飛行場の軍民共同使用の可能性について、引き続きスタディ・グループでの作業を進めていくことで意見が一致

イ 日米弾道ミサイル防衛(BMD)協力
○ 昨年11月の日米首脳会談における両国首脳からの具体的検討の指示を受け、これまでのBMD協力の進捗および今後の協力の方向性について議論
○ BMDに関連する日本の防衛力整備が進んでいることを高く評価。今後ともBMDに係る情報協力、運用協力を迅速に進めること、特に情報共有面においては、BMD以外の分野も含めて情報共有ロードマップの策定を進めることなどについて意見交換

ウ 米国の拡大抑止
○ 日本側より、北朝鮮による弾道ミサイル発射および核実験の実施、中国の人工衛星破壊実験の実施など、依然として不確実・不透明な状況が続く中、わが国および地域の平和と安定の基礎は引き続き日米安保体制に基づく抑止力であり、抑止に係るコミットメントは適時に、一点の曇りもなく確認されることが重要である旨発言、今回文書の中でもこの点が明記されたことを歓迎
○ 米側より、あらゆる種類の米国の軍事力に基づく、日本の防衛に対する米国のコミットメントに変わりがないことを改めて再確認したい旨発言
○ また、この関連で、来年夏に予定されている空母交替を円滑に実現するためにも、地元の安全安心対策を含め、引き続き日米で協力していくことを確認

エ 役割・任務・能力
 今後、自衛隊と米軍との協力関係の実効性を確保していくためには、役割・任務・能力の検討を引き続き深化させること、特に計画検討作業をさらに進展させることの重要性について、意見交換

オ 情報協力
 日米協力を一層推進する観点から、秘密保護・情報管理の必要性は十分認識しており、日本政府全体として、カウンター・インテリジェンスの分野を含めしっかり取り組んでいくこと、情報共有および情報協力は重要な基礎であり、情報共有をさらに進めるためには情報保全が不可欠であること、引き続き、この点でも日米間で緊密に協力していくことについて意見交換

カ 地域情勢
○ 北朝鮮:核問題について、北朝鮮が一日も早く2月に合意した「初期段階の措置」を実施する必要があり、今後とも日米間で緊密に連携していくことで一致
○ 中国:軍事力の透明性を高めることが重要。これまでにも透明性向上を求めてきたが、さらに促していく必要があり、引き続き日米で協力していくことなどについて意見交換

キ 日米豪協力
 日米両国と基本的価値および利益を共有するパートナーとのさらなる協力強化が重要であり、特に、アジア大洋州地域にある豪との間では、安全保障・防衛分野を含め具体的に協力を進めていくことで意見が一致

ク その他
○ 在日米軍駐留に関連する経費負担(HNS:Host Nation Support):HNSが日米安保体制において果たしている重要性や日米の厳しい財政状況などについて意見交換
○ 地位協定の運用改善:日本側より、在日米軍と地元との良好な関係構築は重要であり、災害時対応のため、米軍施設・区域の使用手続に日米間で合意したことは有意義である、引き続き日米地位協定の運用改善に努めたい旨発言

 

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