第I部 わが国を取り巻く安全保障環境 

5 武器輸出

 ロシアは、軍事産業基盤の維持、経済的利益のほかに、外交政策への寄与といった観点から武器輸出を積極的に推進しているとみられ、輸出額も近年増加傾向が続いている。また、本年1月、武器輸出権限を国営企業「ロスオボロンエクスポルト」に独占的に付与し、引き続き、輸出体制の整備に努めている。さらに、ロシアは、軍事産業を国家の軍事組織の一部と位置づけ、スホーイ、ミグ、ツポレフといった航空機企業の統合を図るなどその充実・発展に取り組んでいる。
 ロシアは、中国、インド、ASEAN諸国などに戦闘機や艦艇などを輸出し9、また、01(平成13)年には北朝鮮、イランとの間で軍事技術協力に関して合意している。なお、旧ソ連各国から核兵器などの大量破壊兵器に関連する物資や技術、知識・技術を有する人材などの流出の可能性が国際的に懸念されている。


 
9)03(平成15)年から04(同16)年にかけて、インドネシア、マレーシア、ベトナムとの間でSu-27、Su-30戦闘機などの売却契約が結ばれたほか、同年1月にはインドに空母を売却する契約も結ばれた。また、昨年はアルジェリアとベネズエラとの間でSu-30戦闘機などの売却契約が結ばれ、一部は引き渡されているなど、従来の輸出国以外への輸出に力を入れているとみられている。

 

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