第III部 わが国の防衛のための諸施策 

(VOICE)NATO国防大学への留学

NATO国防大学留学生 2等空佐 大森太郎(おおもりたろう)(現所属:航空幕僚監部)
 
NATO国防大学で討論中の大森2等空佐(左端)

 私は、平成18年8月28日〜平成19年2月2日の間、ローマにあるNATO国防大学(NATO Defense College)に留学し、第109期上級コース(Senior Course 109)を履修しました。NATO国防大学上級コースでは、NATO加盟国をはじめ、平和のためのパートナーシップなどの友好国三十数か国から大佐、中佐クラスおよび同等の文官等70〜80数名を年間2回受け入れ、将来のNATO関連ポストへの配置を考慮した戦略レベルの教育が行われます。
 教育環境は極めて充実しており、連日、内外から著名な大学教授、大使、軍人など、有識者を招聘(しょうへい)し、質の高い講義とディスカッションが行われます。また、課程期間中、ヨーロッパ各国および北米など、十数か国をまわる海外研修があり、机上で学んだことを実地に確認できるのも大きな特徴です。また、政治、経済、文化の異なる多国間の意見を集約するのは容易なことではないため、多国間における交渉や意思決定などにも重点がおかれた教育が行われ、NATOが円滑に機能する基盤を作るための配慮が随所に見られました。
 史上最も成功した軍事同盟と言われるNATOですが、冷戦後、特に9.11テロ後の同盟のあり方については真剣に議論を重ね、変革を進めており、その方向性は、わが国と共通するところが多く、グローバルな新たな脅威などに的確に対処するためには、今後さらに協力関係を進展させるべきであると感じました。
 今後はこの貴重な体験を活かし、日−NATOの関係の発展に貢献できればと思っています。

 

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