2 国連平和維持活動(PKO)の動向
PKOは、伝統的には、停戦の合意が成立した後に、停戦監視などを中心として、紛争の再発防止を主たる目的として行われてきたが、冷戦終結後、その任務は、武装解除の監視、選挙や行政監視、難民帰還などの人道支援など、文民の活動を含む幅広い分野にわたるようになり、さらに活動の規模も拡大した。また、国連憲章第7章の下で、武装解除などに関し強制措置をとり得るとされる活動や、紛争を未然に防止する目的を持った活動も行われるようになった。本年4月末現在、全世界で15のPKOが展開し、115か国、約8万3,000人が参加している。
PKOは、要員・機材の確保の問題や要員の安全確保の問題
1などの課題を抱えており、国連と関係国は、これらの課題に対する方策について議論を行ってきた。
04(平成16)年12月に国連ハイレベル委員会が公表した報告書「より安全な世界、我々が共有する責任」は、現存の紛争において十分な平和維持を行うためには、要員の数をほぼ倍増させる必要があるとして、特に先進国に対して平和活動のための部隊を増強するよう求めている。また、平和構築委員会の設置や旅団レベルの待機制度や平和維持活動のための常設警察部門の立上げなどを提案しており、このうち、平和構築委員会の設立が05(同17)年末に決定され、昨年6月には初会合が開催された。
1)PKOなどにおける国連要員の犠牲者数は、昨年1年間で104人、これまでの総計が2,355人(本年3月末時点)に達しており、PKOなどに携わる要員の早急な安全確保が望まれている。