第I部 わが国を取り巻く安全保障環境 

1 核兵器

 米ソ冷戦のさ中、62(昭和37)年のキューバ危機を経て、米ソ間の全面核戦争の危険性が認識されるなどし、68(同43)年に作成された核兵器不拡散条約(NPT:Treaty on the Non-Proliferation of Nuclear Weapons)1の下、66(同41)年以前に核爆発を行った国2以外の国の核兵器保有が禁じられるとともに、相互交渉による核戦力の軍備管理・軍縮が行われることとなった3
 現在、190か国が締結しているNPTでは、米国、ロシア、英国、フランス、中国の5か国が核兵器国として認められている。かつて核を保有していてもこれを放棄して非核兵器国として加入する国がある一方で4、依然として加入を拒んでいる国5もある。また、核兵器の保有が認められている5か国のほかにも、昨年10月に核実験の実施を発表した北朝鮮のように核兵器の開発・保有を自ら宣言している例もある。


 
1)70(昭和45)年発効
 
2)米国、ソ連、英国、フランス、中国。ただし、フランスと中国のNPT加入は92(平成4)年
 
3)NPT第6条は、各締約国による誠実に核軍縮交渉を行う義務を規定
 
4)南アフリカ、ウクライナ、カザフスタン、ベラルーシ
 
5)主たる非加入国は、イスラエル、インド、パキスタン

 

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