第5章 国際的な安全保障環境の改善 

2 対人地雷禁止条約


 対人地雷による人道上の問題を解決することを目指し、97(平成9)年、対人地雷禁止条約(オタワ条約)4が採択され、99(同11)年に発効した。
 防衛庁・自衛隊は、この条約に基づき、00(同12)年1月から対人地雷の廃棄を開始し、03(同15)年2月、条約で認められた地雷の探知、除去などの技術開発と訓練のための必要最小限の例外的な保有分を除き、全ての対人地雷を廃棄した。
 他方、わが国の安全保障を確保するため、条約上の対人地雷に該当せず、一般市民に危害を与えるおそれのない代替手段として、対人障害システムの整備を進めており、当面は指向性散弾(しこうせいさんだん)5などと併せて対応することとしている。
 本年4月現在、この条約は151か国が締結しているが、アジア太平洋地域などでは44か国のうち23か国しか締結していない。このため、防衛庁としても条約未締結のアジア太平洋諸国などに対し、条約の締結を働きかけている。
 さらに、防衛庁は、例外保有などに関する年次報告を国連に対して行うとともに、関連国際会議などに適宜職員を派遣するなど、国際社会の対人地雷問題への取り組みに積極的に協力している6


 
4)<http://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/arms/mine/index.html

 
5)敵歩兵の接近を妨害する対歩兵戦闘用爆薬。民間人が無差別に被害を受けないよう隊員が目標を視認して作動させるものであり、人の存在、接近又は接触により爆発するように設計されたものではない。

 
6)防衛庁は、カンボジアにおける対人地雷除去活動への支援のため、99(同11)年から退職自衛官を国際協力機構(JICA)に推薦しており、この退職自衛官はJICAの長期派遣専門家の枠組みで、カンボジア地雷対策センター(CMAC)の整備・輸送アドバイザーとして派遣されている。


 

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