第5章 国際的な安全保障環境の改善 

1 国際平和協力活動の位置付けの見直し


 自衛隊はペルシャ湾に海上自衛隊(海自)の掃海部隊を派遣して以来、さまざまな国際平和協力業務や国際緊急援助活動などに参加し、国際社会に貢献を重ねてきた。また、9.11テロ以降は、テロ対策特措法1に基づき、インド洋などで協力支援活動などを継続している。
 さらに、米英軍によるイラクに対する武力行使後は、イラク人道復興支援特措法2に基づき、イラクを平和で民主的な国家として復興するため、国際社会と協力しつつ、イラク復興の支援を行ってきており、こうした国際平和協力活動への取り組みは、国際社会のみならず、わが国の多くの国民が肯定的に捉えるなど、国内においても高く評価されてきている。
参照> 2章4節

 また、これらの活動に従事する自衛隊員は、長期にわたって国や家族を離れ3、厳しく困難な環境と緊張の中で献身的に任務を遂行している。
 こうした活動における職務に、自衛隊員が一層の誇りと自覚をもって、専念するためにも、その体制と環境を整備し、国際平和協力活動を自衛隊の本来任務に位置付けることが必要である。また、これは、わが国が国際社会と協力して国際社会の平和と安定に取り組む姿勢を強く発信することにもつながる。
 このため、政府は、国際平和協力活動などを、自衛隊の本来任務と位置付ける内容を含む防衛庁設置法等の一部改正法案を6月9日、国会に提出した。
参照> 2章4節

 
図表5-1-2 国際平和協力活動関連法の総括的な比較


 
1)正式名称は「平成13年9月11日のアメリカ合衆国において発生したテロリストによる攻撃等に対応して行われる国際連合憲章の目的達成のための諸外国の活動に対して我が国が実施する措置及び関連する国際連合決議等に基づく人道的措置に関する特別措置法(平成13年法律第113号)」

 
2)正式名称は「イラクにおける人道復興支援活動及び安全確保支援活動の実施に関する特別措置法(平成15年法律第137号)」

 
3)なお、本年6月16日に公職選挙法の一部を改正する法律案が成立し、法律の規定に基づき国外に派遣される組織の構成員(国際平和協力法等に基づき国外に派遣される自衛隊員など)が、国外において不在者投票ができることとなった。


 

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