第4章 日米安全保障体制の強化 

1 在日米軍の駐留にかかわる経費の負担など


 在日米軍駐留経費負担は、日米安保体制の円滑かつ効果的な運用を確保する上で重要である。このような観点から、わが国は財政事情などにも十分配慮しつつ、日米地位協定の範囲内で、あるいは特別協定1に基づいて、できる限りの努力を払ってきた。現在、防衛庁においては、在日米軍駐留経費負担として、1)在日米軍が使用する施設・区域についての提供施設整備費2、2)在日米軍従業員の労務費、3)在日米軍が公用のため調達する光熱水料など、4)日本側の要請による在日米軍の訓練の移転に伴い追加的に必要となる経費(訓練移転費)の負担を行っている。
 また、平成13年度から平成17年度までを対象とした特別協定(前協定)が本年3月31日に失効するものとされていたことから、政府は、日米両国を取り巻く諸情勢に留意し、在日米軍駐留経費の日本側による負担を図り、在日米軍の効果的な活動を確保するため、05(平成17)年2月以降、米国政府と協議しつつ、検討を行ってきた。
 その結果、新たな特別協定について最終的な合意に至り、本協定は、本年1月に日米間で署名され、国会の承認を経て、同年4月1日に発効した。本協定では、在日米軍再編の進展の結果を見極めることが困難であるとの特殊な事情を踏まえ、対象期間を従来の5年間ではなく、さらに暫定的な2年間としつつ、労務費、光熱水料などおよび訓練移転費の3種類の経費について、前協定の負担の枠組みおよびその水準を維持した。他方で、本年度の提供施設整備費については、わが国の厳しい財政事情にかんがみ、より一層の節減に努め、これにより、在日米軍駐留経費負担を全体として抑制した。なお、今後の在日米軍駐留経費負担のあり方については、在日米軍再編の成行きを見極める必要があり、本協定が失効する2年後に、その時点で厳しい財政事情や日米安保体制の円滑かつ効果的な運用の必要性といった種々の要素を改めて総合的に勘案して対応することとなる。
(図表4-3-10参照)
 
図表4-3-10 在日米軍駐留経費負担の概要

 これらの在日米軍駐留経費負担のほか、政府は在日米軍施設・区域の提供に必要な経費(施設の借料など)の負担、同施設・区域の周辺地域における生活環境などの整備のための措置、在日米軍従業員の離職対策などを行っている。また、市町村に対して固定資産税の代替である基地交付金3などを交付している。
(図表4-3-11参照)
 
図表4-3-11 在日米軍駐留経費負担の現状(平成18年度予算)


 
1)正式名称は「日本国とアメリカ合衆国との間の相互協力及び安全保障条約第六条に基づく施設及び区域並びに日本国における合衆国軍隊の地位に関する協定第二十四条についての新たな特別の措置に関する日本国とアメリカ合衆国との間の協定」

 
2)提供施設整備については、案件採択基準を次のとおり策定し、効率的な実施に努めている。1)在日米軍の駐留基盤整備に寄与する施設(隊舎、家族住宅など)については、必要性、緊急性などを勘案しつつ着実な整備を図る。2)レクリエーション、娯楽施設などの福利厚生施設については、必要性を特に精査し、娯楽性・収益性が高いと認められるもの(ショッピングセンターなど)の新規採択を控える。

 
3)総務省が交付


 

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