1 検討の経緯
自衛隊の統合運用に関し、自衛隊の総合的かつ有効な運営を図るため、防衛庁・自衛隊発足時の54(昭和29)年7月に陸上・海上・航空幕僚長(陸・海・空幕長)と統合幕僚会議議長で構成される統合幕僚会議が設立された。これにより、自衛隊の運用に関しては、内部部局が主として政策的観点から、各幕僚長と統合幕僚会議が主として軍事専門的観点から、自衛隊に対する長官の指揮監督を補佐する体制をとってきた。しかし、軍事専門的観点からの長官の補佐は、陸・海・空幕長がそれぞれ個別に行い、必要に応じて統合幕僚会議が合議体として、統合調整を行うという「各自衛隊ごとの運用を基本とする態勢」に基づくものであった。
一方、新たな脅威や多様な事態
1への対応が求められるなど、自衛隊を取り巻く環境の変化により、その役割は多様化している(
2章2節参照)。これに自衛隊が迅速かつ効果的に対応するためには、平素から陸・海・空自衛隊を有機的かつ一体的に運用できる態勢が必要であるとの認識から、長官の指示に基づき02(平成14)年4月から「統合運用に関する検討」が行われ、同年12月、「統合運用を基本とする態勢」へ移行することの必要性をとりまとめた成果報告書が長官に対して提出された
2。さらに、04(同16)年12月に閣議決定された防衛大綱
3および同時に決定された中期防
4においても、統合運用体制強化の必要性が述べられている。
これらを踏まえ、05(同17)年7月に防衛庁設置法および自衛隊法などの改正がなされ、統合幕僚監部(統幕)の新設、陸上・海上・航空幕僚監部(陸・海・空幕)から統幕への運用機能の移管や運用に必要な情報機能の情報本部への集約など、統合運用に必要な体制の整備を行った。さらに、本年2月20日から行われた日米共同統合演習における検証などを経て、本年3月27日、統合運用体制に移行した。
(図表3-1-1参照)