第5章 国際的な安全保障環境の改善 

3 防衛庁・自衛隊が主催又は参加している多国間安全保障対話


 防衛庁は、各国防衛当局者との情報・意見交換を通じた相互理解の増進と信頼醸成を図るため、わが国が主体性をもって積極的に安全保障対話を進めることが、アジア太平洋地域の安定化に重要であると考えている。このような認識の下、内部部局や陸・海・空自衛隊、防衛大学校、防衛研究所において各種セミナーを主催するなど、多国間の安全保障対話を主体的に行うとともに、諸外国やその他の機関が主催する対話にも積極的に参加している。
 防衛庁・自衛隊が主催又は参加している多国間安全保障対話の概要は、図表5-2-5・6のとおりである。
 
図表5-2-5 防衛庁主催による多国間安全保障対話
 
図表5-2-6 その他の多国間安全保障対話など(持ち回り開催または他国などで開催される多国間安全保障対話など)

 特に、アジア太平洋地域防衛当局者フォーラム(東京ディフェンス・フォーラム)は、96(平成8)年から毎年防衛庁が主催しているものであり、各国の防衛政策への相互理解を深め、その透明性を高めて地域の安定化に寄与することを目的とし、各国の防衛政策や、防衛面に焦点をあてた信頼醸成措置への取組について意見交換を行っている。
 昨年6月の第10回のフォーラムには、22か国、EUのほか、国連人道問題調整事務所(OCHA)などの参加を得て、「インドネシア・スマトラ島沖大規模地震およびインド洋津波災害への各国の軍隊などによる救援活動の教訓に基づく今後の課題と地域協力の可能性」について意見交換を行った。
 IISSアジア安全保障会議は、民間機関主催の国際会議であるが、アジア太平洋地域の国防大臣などが多数参加するほぼ唯一の会議であり、毎年シンガポールにて開催されている。本年6月に開催された同会議には、22か国から国防大臣などが参加した。わが国からは額賀防衛庁長官が参加し、「国際的な安全保障のための軍の展開」というテーマの下で、自衛隊の海外への派遣の経験について紹介するとともに、アジア太平洋地域において、実際に災害が発生した場合に、各国の軍が迅速に対応するための制度および手続きを整備しておくことを提案し、日本は災害救援の分野でイニシアティブをとり続けたい旨のスピーチを行った。
 また、この会議の際に、額賀防衛庁長官は、米国、オーストラリア、英国、シンガポール、インドネシア、フィリピン、ニュージーランド、カナダ、モンゴルの国防大臣などの要人と個別に意見交換を行った。

 

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