第5章 国際的な安全保障環境の改善 

6 日印防衛交流


 インドは、広大な国土と10億人を超える人口を持ち、高い経済成長を遂げ、南アジア地域の安全保障において大きな影響力を持っている。また、この地域は、わが国と中東地域を結ぶ海上交通路の安全や、わが国がインド洋などで行っている活動にとっても重要な地域である。
 わが国との関係においては、伝統的な友好関係があり、また、民主主義、自由市場経済という点でも、わが国と認識を共有していることから、インドと防衛政策や地域情勢などに関する意見交換を実施し、相互理解を深めるとともに協力の基盤をつくることは有意義である。
 昨年4月、小泉総理は、訪印の際にシン印首相と会談し、日印間の今後の取り組みの1つとして、安全保障・防衛分野での交流をさらに進めていく希望を再確認した。
 また、同年12月、東アジア首脳会議等に出席するためマレーシアを訪問中の小泉総理が、シン印首相と会談を行い、日印間の安全保障・防衛面での協力の可能性や、日印の関係強化の必要性について共通の認識を示した。

(1)防衛首脳クラスなどのハイレベルの交流
 昨年10月、プラカシュ印海軍参謀総長が訪日し、齋藤海幕長と地域情勢などについて率直な意見の交換を行った。また、今津防衛副長官(当時)が昨年5月、先崎統幕議長(現統幕長)が同年9月、齋藤海幕長が本年2月、森陸幕長が3月、吉田空幕長が4月に相次いで訪印し、それぞれ、陸・海・空軍高官らと率直な意見交換を行うなど、ハイレベルでの交流が活発に行われている。さらに、本年5月には、プラナーブ・ムカジー国防大臣が訪日し、額賀防衛庁長官と会談を行い、防衛政策、国際情勢等について意見交換を実施した。この際、日印間の防衛分野における協力等に関する共同発表に署名がなされた。
 
昨年10月、プラカシュ印海軍参謀総長(右)が訪日した際、守屋事務次官(左)を表敬し、懇談を行った。
 
統幕長に続き、陸・海・空幕長がインドを訪問し、日印の防衛交流を深めた。

(2)防衛当局者間の定期協議など
 本年2月に、局長・審議官級の防衛当局間協議が行われ、日印防衛交流や、地域情勢などについて意見交換を行った。また、留学生の相互派遣のほか、防衛研究者の相互訪問など、研究交流を活発に行っている。

(3)部隊間の交流など
 04(同16)年10月に印海軍艦艇3隻が、東京を親善訪問するなど、これまで14回の訪日を行っている。また、海自は、昨年8月に練習艦隊が遠洋練習航海でムンバイを訪れ、10回目のインド訪問を行った。なお、この際、練習艦隊と印海軍部隊が親善訓練を行うなど、部隊間の交流を活発に行っている。
 また、本年11月に実施される自衛隊音楽まつりに、インド陸軍軍楽隊が参加する予定である。

 

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