3 防衛力の具体的な体制
防衛大綱では、上記の役割を果たすための防衛力の具体的な体制が別表において示されており、その概要は次のとおりである。
(1)陸上自衛隊
ア 新たな安全保障環境に対応した作戦基本部隊の編成・配置
平時地域配備する部隊(作戦基本部隊)については、予測が困難で、迅速な対処を要する新たな脅威や多様な事態に実効的に対処するため、即応性や高い機動性を備えた8個師団および6個旅団を編成し、わが国の国土の山脈、河川、海峡といった地理的特徴などに応じた14区画の各々に8個師団と6個旅団を配置する。
(図表2-2-5参照)
イ 人(マンパワー)の確保
(ア)従来の対機甲戦を重視した整備構想を転換して、ゲリラや特殊部隊による攻撃や大規模災害等の新たな脅威や多様な事態および国際平和協力活動への対応を強化するため、「人(マンパワー)」を重視した体制を構築する。
(イ)常備自衛官の定員を07大綱の14.5万人から14.8万人に増やし、実効的な対応を担保する。
(ウ)他方、主要装備である戦車、特科(とっか)装備(火砲など)については、前者については約900両から約600両に、後者については、約900両/門から約600両/門に削減する。
(図表2-2-6参照)
ウ 中央即応集団および国際活動教育隊の新編
各種の事態が生起した場合に事態の拡大防止などを図るため、機動運用部隊や各種専門部隊からなる中央即応集団を新編する。また、同集団の下に、国際平和協力活動に主体的・積極的に取り組んでいくため、国際活動教育隊を新編する。
(2)海上自衛隊
ア より実効的に対応するための新たな護衛艦部隊の体制
限られた数の護衛艦でより多くの練度の高い艦を確保し、各種事態に即応するため、従来の固定的な編成を改め、各艦の練度に応じて柔軟に部隊を編成する。
機動運用部隊については、事態に即応し持続的に対応する体制として、8個隊(1個隊4隻)に集約化し、地域配備部隊については、現状の安全保障環境を踏まえ、5個警備区にそれぞれ1個隊を配備する体制とする。
イ 新たな脅威や多様な事態への対応を重視した潜水艦部隊の体制
新たな脅威や多様な事態に係る兆候をいち早く察知するための情報収集などの実施を可能とする体制として、引き続き潜水艦16隻を保有する(部隊については、6個隊(1個隊2〜3隻)を4個隊(1個隊4隻)に集約化)。
ウ 作戦用航空機部隊の効率化
周辺海域の警戒監視態勢および即応性、実効性を確保しつつ、統合・効率化などにより、作戦用航空機の機数(哨戒機および回転翼掃海・輸送機を含む)は約170機から約150機に削減する。
固定翼哨戒機部隊については、能力の向上したP-3C後継機を導入するとともに、効率化の観点から、現在の8個隊を4個隊に集約化する。回転翼哨戒機部隊については、より効率的な運用を図る観点から、全機の艦載運用を基本とし5個隊に集約化する。
(図表2-2-7・8参照)
(3)航空自衛隊
ア 戦闘機部隊の効率化
戦闘機部隊については、領空侵犯などに対して適時適切な措置を講じるため、基幹部隊の体制を維持するが、本格的な侵略事態生起の可能性が低下したことなどを踏まえ、効率化などを図ることにより、機数を約300機から約260機とする。
また、戦闘機を含む作戦用航空機については、航空偵察部隊の規模縮小などにより、機数を約400機から約350機とする。
イ 輸送・展開能力の強化
島嶼部に対する侵略に対し実効的に対応するとともに、国際平和協力活動に適切に取り組むため、空中給油・輸送部隊を新設し、また、現有機より輸送・飛行能力の優れた次期輸送機(C-X)を整備する。
ウ 警戒航空隊の2個飛行隊化
警戒航空隊については、07大綱の1個飛行隊を、機能別にE-767の部隊とE-2Cの部隊に分け、2個飛行隊に改編する。
(図表2-2-9・10参照)
(4)弾道ミサイル防衛(BMD)にも使用し得る主要装備・基幹部隊
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防衛大綱においては、自衛隊の体制は、多様な役割を果たし得るものでなければならないとしている。その中でもBMDについて、その具体的な体制を可能な限り明らかなものとし、透明性を確保することにより、国内外に対して、理解を得ていくことが重要であると判断した。このため、今般、特にBMDシステムの具体的な体制については、別表において「弾道ミサイル防衛にも使用し得る主要装備・基幹部隊」を海自の主要装備(イージス・システム搭載護衛艦:4隻)又は空自の基幹部隊(航空警戒管制部隊:7個警戒群および4個警戒隊、地対空誘導弾部隊:3個高射群)の内数として明記している。
(図表2-2-11参照)