第5章 国民と防衛庁・自衛隊 

第4節 沖縄に所在する在日米軍施設・区域


 沖縄は、先の大戦で、住民を巻き込んだ地上戦が行われた地であり、本土と異なり、米軍が単独で占領した。その後、朝鮮戦争の勃発(ぼっぱつ)などの東アジア情勢にかんがみ、1950年代を中心に米軍により土地が接収され、基地が整備された。このような歴史的経緯により、基地、演習場、後方支援施設などが県内に所在している。
 沖縄は、東アジアの各地域に対して、米本土やハワイ、グアム島からよりも距離的に近いため、この地域内で緊急な展開を必要とする場合に、迅速な対応が可能である。また、わが国の周辺諸国との間に一定の距離があるという地理上の利点を有しており、これらが、緊急事態への一次的な対処を担当する海兵隊をはじめとする米軍が沖縄に駐留する主な理由として考えられる。
 他方、沖縄県に在日米軍施設・区域が集中し、県民生活に多大の影響が出ているのも事実であり、その整理・統合・縮小をはじめとする沖縄に関連する諸課題については、内閣の最重要課題の一つとして政府を挙げて取り組んでいる。防衛庁も、従来から、日米安保条約の目的達成と地元の要望との調和を図りつつ、問題解決のため様々な施策を行い、鋭意努力してきている。
 なかでも、日米両国政府がまとめた「沖縄に関する特別行動委員会」(SACO:Special Action Committee on Okinawa)最終報告の内容を着実に実現することが、沖縄県民の負担軽減のためには最も確実な道であると考えており、引き続き、その的確かつ迅速な実現に向けて努力を続けており、本年2月に実施された日米安全保障協議委員会(SCC:Security Consultative Committee)においても、その重要性が改めて確認されている。
 本節では、沖縄に所在する在日米軍施設・区域に関する政府の取組について説明する。


 

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