第5章 国民と防衛庁・自衛隊 

沖縄在日米軍ヘリ墜落事故に対する防衛庁の取組

1 事故の概要
 昨年8月13日午後2時20分頃、普天間飛行場に向かう米海兵隊ヘリコプター(CH-53D)が沖縄県宜野湾(ぎのわん)市に所在する沖縄国際大学の構内に墜落した。この墜落事故により、搭乗員3名が負傷するとともに、同大学の建物及び周辺住民の家屋などに被害を与えた。

 
事故機と同型機

2 政府、防衛庁の取組
 本件事故を受け、内閣官房長官、外務大臣、防衛庁長官、沖縄・北方担当大臣などをメンバーとする「沖縄在日米軍ヘリ墜落事故関係大臣等会合」が4回にわたり開催された。同会合では、事故原因の徹底究明、事故の再発防止、ヘリコプター運用再開に対する対応、事故現場における問題点の検証及び改善、被害者への補償などについて関係省庁が連携を取りつつ、政府一体となった取組を進めることとされた。これを受け、防衛庁は、主として事故原因の徹底究明、再発防止、被害者への補償などに取り組んだ。

3 事故分科委員会における事故原因の究明など
 事故分科委員会は、ヘリコプターの運用、整備、機体構造、安全対策などの専門家も参画した上で、6回にわたり開催され、米側から技術的裏付けを含む事故原因についての説明を聴取し協議した。さらに、調査のため事故機の残骸を5回にわたり確認した。本年2月17日、同分科委員会は、協議結果を取りまとめ、日米合同委員会に報告し、承認を得た。同報告では、整備上の過誤を事故原因とし、次にあげる再発防止策をとることとした。

(1)米側は、整備マニュアルの改訂など米軍内において既にとられた措置に加え、所定の整備手順の徹底を確実にするなどの取組を行う。

(2)現地及び中央レベルを含む日米当局は、日米共同で、普天間飛行場周辺の場周経路を再検討し、更なる可能な安全対策について検討を行う。
 以上の2点について、その取組状況又は結果を適時適切に日米合同委員会へ報告する。

4 被害者への対応
 本件事故により、沖縄国際大学の建物、周辺住民の家屋などに多くの被害が発生した。被害のほとんどは、家屋の損傷などの財産的被害であったが、精神的被害も含まれていた。防衛庁は、被害者を早期に救済するとの観点から、精神的被害を含め、これらの被害への補償を迅速に処理した。今後は、事故機が衝突した同大学の建物などについて、復旧に関する大学側の意向を踏まえつつ、迅速に補償していく予定である。

※)事故分科委員会は、63(昭和38)年1月、日米の一方の行為により他方に被害が及んだ事故が起こった場合、地位協定第25条に規定する日米合同委員会から付託される事項を検討し、同委員会に勧告を行うことを目的として、同委員会の下に設置された協議機関である。防衛施設庁業務部長が同分科委員会の日本側代表を務めた

 

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