安全保障の基本的な考え方を明示(2つの目標、3つのアプローチ)
わが国の安全保障の目的は、わが国の平和・独立及び領土が守られ、自由と民主主義を基調とする国家体制が維持され、国民の生命、財産などが保護されることである。すなわち、新たな安全保障環境の下、わが国として、新たな脅威や多様な事態
1を含む安全保障上の問題に的確に対応し、危機に強く、国民が安全に安心して暮らせる国家を実現する必要がある。
また、国際社会における協調・協力を重視する動きが定着していることや国際社会におけるわが国の立場にふさわしい役割を果たして国際社会から信頼される国家を実現することも踏まえ、わが国の平和と独立の前提となる国際社会の平和と安定のため、わが国として主体的・積極的に取り組む必要がある。
その際、今日の安全保障上の問題が予測困難で複雑かつ多様であるため、政府として、日米安保体制を基調とする米国との協力、関係諸国や国連をはじめとする国際機関などとの協力を図りつつ、平素からの外交努力の推進や防衛力の効果的な運用に加え、警察、経済、情報などの安全保障関連諸施策の有機的な連携による迅速かつ的確な対応を行うことが重要である。
こうした認識に立って、新防衛大綱は、わが国の平和と安全を確保するため、「我が国の安全保障の基本方針」を明らかにし、この中では、
1) わが国に直接脅威が及ぶことを防止し、脅威が及んだ場合にはこれを排除するとともに、その被害を最小化すること
2) 国際的な安全保障環境を改善し、わが国に脅威が及ばないようにすること
の2つを安全保障の目標として掲げている。
また、わが国は国際の平和と安全の維持に係る国際連合の活動を支持し、諸外国との良好な協調関係を確立するなどの外交努力を推進するとともに、日米安保体制を基調とする米国との緊密な関係を一層充実させ、内政の安定により安全保障基盤の確立を図り、効率的な防衛力を整備するなど、1)わが国自身の努力、2)同盟国との協力、3)国際社会との協力という3つのアプローチを統合的に組み合わせることにより、これらの2つ目標を達成することとしている。