第2章 わが国の防衛政策の基本と新防衛大綱、新中期防など 

2 新たな統合運用体制の整備


新たな統合運用体制の考え方

 新たな安全保障環境の下、新たな脅威や多様な事態に迅速かつ効果的に対応することができるよう、各自衛隊を一体的、有機的に運用する統合運用体制を強化するため、既存の組織などを見直し、効率化を図り、平成17年度末に防衛庁長官の補佐機構として統合幕僚監部を新設するなど、必要な体制を整備することとしている。
 先に述べたとおり、現状において、各自衛隊の運用は、各自衛隊がそれぞれの運用構想に基づいて個別に行動し、必要に応じて統合調整を行い対処することが基本であり、各自衛隊の運用に関する長官の補佐も基本的に各幕僚長により個別に行い、各自衛隊の運用に関する長官の指揮命令についても、各幕僚長を通じて行ってきた。

 
統合運用の強化

 新たな体制においては、新設する統合幕僚監部の長たる統合幕僚長が、陸・海・空自衛隊を含めた統一的な運用構想を立案し、自衛隊の運用に関する軍事専門的見地からの長官の補佐を一元的に行うこととし、また、自衛隊の運用に関する長官の指揮は統合幕僚長を通じて行い、自衛隊の運用に関する命令は統合幕僚長が執行することとしている。すなわち、新体制下では、防衛出動や治安出動、国際緊急援助活動をはじめとした陸・海・空自衛隊の全ての運用に関し、統合幕僚長が軍事専門的見地からの長官補佐を一元的に行うことになる。また、事態が発生した際、たとえ単一の自衛隊の部隊を運用して対処する場合(例:陸上自衛隊の部隊のみを運用する場合)であっても、当該部隊の運用に関する長官の指揮命令は、統合幕僚長を通じて行うこととなる。

 

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