第6章 今後の防衛庁・自衛隊のあり方 


防衛白書刊行30回

 「日本の防衛」(防衛白書)の第1号は、70(昭和45)年10月中曽根防衛庁長官の時代に発刊された。そして、その6年後の76(同51)年の第2号以降、毎年発刊されるようになり、本年で30回目の発刊となる。
 
初めて発行された昭和45年版防衛白書

 70年に発刊された初の防衛白書は、第1部「現代社会における防衛の意義」、第2部「日本の防衛のあり方」、第3部「自衛隊の現状と問題点」の3部、本文67ページ構成となっている。中曽根防衛庁長官(当時)は、白書発刊の理由について「防衛問題を国民の皆様に議論してもらいたい、その一手段として防衛白書を出すと約束してきた。この白書を読んでもらい、いろいろ疑問を提出してもらい、間違っていることがあれば我々も反省し、直し、これからいろいろ論争を誘発し、それがやはり国民のものになっていくものである。」と国会で説明している。

 71(同46)年以降も防衛白書の発刊準備は進められたが、長官の度重なる交替などのため発刊までには至らなかった。74(同49)年に就任した坂田防衛庁長官(当時)は、国民に安全保障問題に関心をもってもらうための資料や材料を提供する必要があると考え、76(同51)年6月、第2回防衛白書を発表した。この防衛白書では、検討中の基盤的防衛力構想を紹介し、国民の各界各層から寄せられる種々の意見を聴取するという目的もあった。

 91(平成3)年までの防衛白書は、国際軍事情勢、基本的かつ重要な防衛事項、毎年度の防衛力整備、その年に起こった国民の関心の高い事項(ミグ25事件など)を主要なテーマとして作成されてきた。また、コラム記事やカラー刷りなど読みやすさに配慮した改善も年々行われてきた。その後、国際平和協力法の成立を受け、平成4(92)年版白書からは、新たに「国際貢献と自衛隊」という章が設けられ、自衛隊の国際的な活動が主要なテーマに加えられた。さらに、平成8(96)年版白書からは、新たな防衛計画大綱が策定されたことを受け、大規模災害など自衛隊の多様な役割や軍備管理・軍縮など安定した安全保障環境の構築への貢献に焦点があてられるようになった。

 平成12(00)年版防衛白書は、紙面を大判化(B5版からA4変版)し、ビジュアル化など読みやすさ、見やすさに配慮をして作成された。さらに、昨年の防衛白書は、価格を千二百円として前年版より千円安くし、さらには、従来閣議配布から発売まで約1か月かかっていたものを閣議配布後翌日に発売し、防衛庁ホームページに掲載するといった改善を行った。防衛庁としては、できるだけ国民の皆様にわかりやすく、興味を持って白書を読んでいただけるよう、今後とも努力したいと考えている。


 

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