第6章 今後の防衛庁・自衛隊のあり方 


統合幕僚会議発足50周年

 防衛庁・自衛隊が発足した54(昭和29)年7月1日、「統合防衛計画の作成」、「出動時における自衛隊に対する指揮命令の基本及び統合調整」など、陸・海・空三自衛隊の統合に関する事項について長官を補佐する機関として、統幕が設置された。

 統幕の権限は、発足以来2回の見直しが行われている。60(同35)年には、陸・海・空の部隊のいずれか2以上により編成された特別の部隊に対する長官の命令の執行が可能となった。また、98(平成10)年には、災害派遣や国際緊急援助活動など、防衛出動時以外であっても自衛隊の統合運用が必要な場合に統幕が長官の補佐を行い得るようになった。これに伴い、00(同12)年6月の三宅島噴火に対する災害派遣において、各自衛隊間の運用に関する統合調整が行われた。

 統幕の機能の充実については、76(昭和51)年のミグ25事件を契機として、防衛庁中央指揮所の設置が検討され、84(同59)年に部分運用が、00(平成12)年の防衛庁本庁の移転に伴い、新中央指揮所の運用が開始された。また、国際情勢に的確に対応するため、高度の情報収集・分析などを総合的に行う情報本部が97(同9)年に設置された。これにより戦略情報を含むより高度に統合された情報を官邸などに提供できるようになった。
 
統幕会議50周年記念式典

 統幕事務局の定員は、発足当初は37名であった。その後、61(昭和36)年に統合幕僚学校が、また97(平成9)年に情報本部が設置されるなど逐次機能が充実され、昨年度末現在の定員は、2,454名となっている。
 このような50年の歴史を経てきた統幕は、現在、三自衛隊の行動・訓練などの統合調整のみならず、平素においても、安全保障会議の事態対処専門委員会、日米間の各種協議などにおいて軍事専門家の代表として参画するとともに、各国との防衛交流や安全保障対話を積極的に行っている。さらに、近年の国際情勢の変化や、自衛隊に対する国民の期待の高まりに対応し、各種事態に迅速かつ効果的に対処するため、平成17年度末には、これまでの「各自衛隊ごとの運用を基本」とする態勢から「統合運用を基本」とする態勢への移行を予定しており、現在準備を推進しているところである。
 
統幕50周年ロゴマーク 統幕事務局・情報本部職員章


 

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