第6章 今後の防衛庁・自衛隊のあり方 

4 諸外国における統合運用について

諸外国における統合の潮流

 冷戦の終結に伴い、圧倒的な軍事力を背景とする東西間の軍事的対峙(たいじ)の構造は消滅したことから、諸外国はそれまで行ってきた「明確な脅威に対する軍事力の整備」という目標を失い、保持してきた軍事力を削減する動きが世界的に広がっていった。これに伴い、特に欧米各国では、国防費の削減などが進んだが、その後に生じた民族問題や大量破壊兵器の拡散などの急激な国際環境の変化とテロリズムをはじめとする多様な事態の生起により、軍事力には新たな役割が期待されることとなった。このような環境の変化に対応するため、各国は軍事力の再編成を進めるとともに、国防省などの組織改編、軍隊の統合化を図っていった。
 さらに、いち早く統合を進めていた米軍の湾岸戦争における圧倒的な勝利は、統合の有効性を証明する結果となり、各国は統合司令部を創設するなど、最近は特に統合運用の分野での態勢整備を進めている。


 

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