日米防衛協力関係の進展
96(同8)年に発表された日米安全保障共同宣言には、日米防衛協力のための指針の見直しや在日米軍の兵力構成を含む軍事態勢についての協議など、冷戦後における日米間の防衛協力にとっての課題が具体的に記されている。同宣言発表後の8年間において、同指針の見直し、周辺事態安全確保法の策定など、それら課題の多くが実現されてきたが、今後の日米防衛協力のあり方について、この間の国際情勢の変化や軍事科学技術の急速な進展を考慮しつつ、わが国の国益の観点から、主体的に検討していく必要がある
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具体的には、わが国で防衛力のあり方検討が進められている一方、米国では軍の変革(Transformation)やグローバルな軍事態勢の見直しが行われており、昨年11月25日のブッシュ米大統領の声明でも、現在実施中の海外の軍事態勢見直しについて、同盟国などとの協議を強化する旨表明されているが、日米両国間において、各々が実施している様々な取組をより効果的なものとする観点から、現在、実務レベルで緊密な協議を実施している。これらの協議では、02(同14)年12月に発表された日米安全保障協議委員会(
SCC:Security Consultative Committee)共同発表で述べられたところに従い、両国の役割と任務、兵力と兵力構成、地域の課題やグローバルな課題への対処における二国間協力、国際的な平和維持活動その他の多数国間の取組への参画、ミサイル防衛についてのさらなる協議と協力、在日米軍の施設・区域にかかわる諸問題解決に向けた進展といった広範な課題が扱われることとなる。わが国としても、これらの課題を含む日米間の協力について検討を進めることは、国際社会の平和と安定のための責任を果たすとの観点からも重要である。