第5章 国民と防衛庁・自衛隊 

空母艦載機の着陸訓練場の確保

 空母艦載機が洋上の空母へ着艦するには、非常に高度な技術が要求される。このため、空母が補給などのため入港している間も、パイロットは飛行場での着陸訓練を十分に行い、その技量の維持に努めなければならない。この訓練は、主として厚木飛行場2で行われてきたが、飛行場周辺が市街化していることから、深刻な騒音問題が生じた。このため政府は、三宅島に代替訓練場を設置するための検討を続けている。しかしながら、地元の理解が得られていないことや、火山活動の影響があることから、進展は見られない状況にある。
 一方、厚木飛行場周辺の騒音問題をこのまま放置できないため、89(平成元)年の日米間の協議により、三宅島に訓練場を設置するまでの暫定(ざんてい)措置として、硫黄島の飛行場を利用することとした。同年から艦載機着陸訓練に必要な施設の整備を進め、91(同3)年から同訓練が開始されており、本年5月末までに、延べ32回の訓練が行われている。
 02(同14)年、日米両国政府は、艦載機夜間着陸訓練を可能な限り硫黄島で実施すること、本土飛行場で実施しなければならない場合には、早期に日本政府に通知するとともに、騒音・環境などの面に最大限配慮することを改めて確認しており、政府としては、今後とも、代替訓練場が確保されるまでは、硫黄島で艦載機着陸訓練が行われるよう努力することとしている。
 
硫黄島において着陸訓練を行う米軍艦載機



 
2)艦載機着陸訓練は厚木のほか、三沢、横田、岩国飛行場でも行われていた。


 

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