第3章 わが国の防衛と多様な事態への対応 

2 同時多発テロを踏まえた対処態勢の整備

 01(平成13)年9月に米国で発生した同時多発テロのような大規模なテロに対する備えに万全を期すため、同年、自衛隊法を改正し、国内の自衛隊施設や在日米軍施設及び区域の警護のため、自衛隊の部隊などの出動を可能とするとともに、通常時から自衛隊施設を警護するための武器使用を可能とした。
 
警護出動の概要

(1)警護出動1
 内閣総理大臣は、国内の自衛隊施設や在日米軍施設及び区域における大規模なテロが行われるおそれがあり、その被害を防止するため特別の必要があると認める場合には、当該施設又は施設及び区域の警護のため自衛隊の部隊などの出動を命ずることができる。
 その際、警護出動を命ぜられた自衛官の職務の執行について、警察官職務執行法に基づく権限が一部準用2される。また、警察官職務執行法第7条を超える武器の使用権限なども規定された。
 防衛庁・自衛隊は新たな任務である警護出動の実効性を確保するため、警察・海上保安庁との間で警護出動に関する意見交換を行っているほか、昨年11月から本年3月の間に岩国飛行場などにおいて、陸自による在日米軍施設及び区域の警護に係る警護出動訓練を実施した。
 
在日米軍施設・区域における警護出動訓練を行う隊員(昨年11月)

(2)通常時における自衛隊の施設警護のための武器の使用
 国内の自衛隊の施設であって、自衛隊の武器、弾薬、火薬、船舶、航空機、車両、有線電気通信設備、無線設備若しくは液体燃料を保管し、収容し若しくは整備するための施設設備、営舎又は港湾若しくは飛行場にかかわる施設設備が所在するものを自衛官が職務上警護する際の武器使用権限が新たに規定3された。



 
1)正式には「自衛隊の施設等の警護出動」

 
2)犯罪の予防及び制止、武器の使用が認められるほか、警察官がその場にいない場合に限り、質問、避難などの措置、一部の地域の立入が認められる。

 
3)その職務を遂行するため又は自己若しくは他人を防護するため必要であると認める相当の理由がある場合には、施設内において、その事態に応じ合理的に必要と判断される限度で武器を使用することができる。
 その場合、正当防衛又は緊急避難に該当する場合のほか、人に危害を与えてはならない。


 

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