第1章 国際軍事情勢 


解説 米軍のグローバルな再配置

 米軍の総兵力は、陸軍約49万人、海軍約40万人、空軍約37万人、海兵隊約17万人、総計約143万人である。米軍は、昨年7月時点で約37万人の兵力を全世界に展開しているが、特に陸軍は、昨年度において、33個現役旅団のうち24個(全体の73%)が海外に展開している。この背景には、イラク周辺に約13万人、アフガニスタンに約1万人など紛争地域への派遣が増加していることがある。

 ブッシュ大統領は、同年11月25日、「全地球規模での軍事態勢の見直し」に関する声明を発表した。大統領は、この中で、ならず者国家、グローバルなテロ、大量破壊兵器の拡散といった新たな脅威に対応するためグローバルな軍事態勢を再編することが課題となっていると述べ、米国は、議会や同盟国と海外における米軍の態勢見直しに関する協議を強化するとしている。

 この声明は、1)新たな脅威はいつ、どこで発生するか予測困難なため柔軟に対処する必要があること、2)同盟国が自らの役割を拡大するのを手助けし、新たなパートナーシップを確立する必要があること、3)特定地域の防衛のみならず地域を越える事態にも着目する必要があること、4)緊急展開能力を向上する必要があること、5)兵力数が軍事的能力と同意義であった時代が終了し、軍事力を数ではなく能力という観点から評価する必要があることを背景としている。このような米国の方針を踏まえて、ポーランド、ルーマニアなど東欧各国が、基地の受け入れに積極的な姿勢を表明している。


 

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