ダイジェスト 

4 地域の安全保障環境の安定化のための積極的な取組
(第4章:より安定した安全保障環境の構築への貢献)

 
人道支援物資などの輸送のためイラクに向け出発した空自の派遣部隊
人道支援物資などの輸送のためイラクに向け出発した空自の派遣部隊

1 イラク問題へのわが国の取組

 米英軍などによるイラクへの武力攻撃に際し、わが国は米国の武力行使を理解し支持する旨を表明するとともに、被災民の発生に応じた緊急人道支援を含む「緊急対応策」を閣議決定した。同緊急対応策を踏まえ、自衛隊は、UNHCRからの要請に応じ、人道的な国際救援活動として、政府専用機2機によりヨルダンへの緊急援助物資(テント)の輸送を実施した。
 また、安保理決議第1483号を踏まえ、イラク復興においてわが国に相応しい貢献を実施するため、政府が提出した、自衛隊と文民による人道復興支援などを可能とするイラク人道復興支援特措法が成立したほか、国際平和協力法により、イラク周辺国などにおける人道支援物資などの輸送に協力するため、7月10日、C−130H輸送機2機がヨルダンに向け出発した。

 
インド洋において燃料補給中の海自派遣部隊
インド洋において燃料補給中の海自派遣部隊

 
自衛隊の活動に対し感謝の意を述べる米派遣部隊司令官
自衛隊の活動に対し感謝の意を述べる米派遣部隊司令官

2 国際テロの防止・根絶に向けた活動

 国際的なテロリズムの防止と根絶のための取組として、海自によるインド洋での給油や空自による国内外での輸送は、これまで約1年9か月にわたり続けられてきた。
 海自が燃料の補給活動などを行っている周辺海域では、すぐには国籍が確認できない船舶や航空機が航行していることから、作業を行う隊員は、常時、不測の事態に対応できる態勢を維持しなければならず、緊張の連続であり、さらに、外気温度が40度Cを超える厳しい環境の下で、忍耐強く任務を遂行している。このような活動に対し諸外国から高い評価などを受けている。

 
カンボジアにおいて道路修理中の陸自派遣部隊
カンボジアにおいて道路修理中の陸自派遣部隊

 
ザイール(当時)において宿営地内の天幕の周囲に処置した防護のための土のう積み
ザイール(当時)において宿営地内の天幕の周囲に処置した防護のための土のう積み

3 自衛隊によるPKOの軌跡

 1992(平成4)年、国際平和協力法が制定され、自衛隊は、はじめて国連平和維持活動の参加となるカンボジアに施設部隊を派遣し、それ以来、約10年が経過した。
 カンボジアへは施設大隊600名が派遣され、道路・橋の修理のほか、給水、給油、医療、宿泊施設の提供や物資の輸送、保管などを行った。ザイール(当時)へはルワンダ難民救援のため260名が派遣され、医療、防疫、給水などの活動を行ったが、その間、現地の治安状況が憂慮されたことから、隊員の安全確保に万全を期すため、宿営地内には所要の警備措置を講じた。

 
石破長官が参加したIISSアジア安全保障会議
石破長官が参加したIISSアジア安全保障会議

 
空自が主催したアジア太平洋地域空軍の多国間安全保障対話
空自が主催したアジア太平洋地域空軍の多国間安全保障対話

4 重要度を増す防衛庁・自衛隊の諸外国との対話

 防衛当局者間の対話・交流などを通じた相互の信頼関係の深化は、無用な軍備増強や不測の事態発生とその拡大を抑えることにつながる。
 防衛庁・自衛隊では、多国間の安全保障対話や共同訓練に参加することやこれを主催することは、相互理解の促進や信頼関係の増進、自衛隊の各種技量の向上に寄与するものと考えており、これらに積極的に取り組んでいる。

 

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