2 様々な広報活動
冷戦終結後の国際平和協力業務、艦艇のインド洋での活動など、自衛隊の活動の場の広がりに伴い、国民の防衛に対する関心も高まり、自衛隊に対する意識も変化している。防衛庁・自衛隊の広報も変化する国民の意識やニーズを踏まえつつ、自衛隊の実態がより理解されるよう努めている。
(1)マスメディアなどによる広報
防衛庁・自衛隊は、情報量が多く双方向性の通信が可能なインターネットによる情報提供・意見聴取
1、広報ビデオの作成、街頭大型スクリーンでの上映
2を行うなど、マルチメディアを活用した広報に取組んでいる。
また、防衛諸施策や自衛隊の活動などを説明したパンフレットの作成、報道機関への取材協力など自衛隊や防衛に関する正確な知識、情報の普及、提供に努めている。
(2)イベント・施設などによる広報
防衛庁・自衛隊は、自衛隊の現状を広く国民に紹介する活動も行っている。毎年富士山麓(さんろく)で行われる陸自の総合火力演習や、各地での海自の護衛艦による体験航海、空自の基地航空祭での航空機の展示飛行などがある。また、防衛庁・自衛隊は、自衛隊記念日行事として、「自衛隊音楽まつり
3」や観閲式、観艦式などを行っている。昨年の「自衛隊音楽まつり」は、米国陸・海軍軍楽隊、韓国空軍軍楽隊の参加を得て日本武道館で開催し、延べ約3万6,000人が来場した。
観閲式などについては、96(平成8)年以来、陸・海・空自衛隊が交互に主担当となって、観閲式(かんえつしき)、観艦式(かんかんしき)、航空観閲式(こうくうかんえつしき)を行い、自衛隊の装備や訓練の成果を国民に紹介している。昨年は、空自が航空観閲式を行い、約5,100人が来場した。また、昨年創設50周年を迎えた海自
4は、戦前戦後を通じてはじめて国際観艦式を行い、延べ約1万4,000人が乗艦した。今年は、10月に海自の担当による観艦式を計画している。
全国に所在する駐屯地や基地では、部隊の創立記念日などに、装備品の展示や部隊見学、航空機への体験搭乗、音楽隊によるコンサートを行う
5ほか、広報館や史料館などの施設
6を公開している。防衛庁本庁が所在する市ヶ谷地区(東京都新宿区)では市ヶ谷台ツアー
7として、庁舎や広報展示室、極東国際軍事裁判(東京裁判)の法廷として使用された施設などを移設復元した記念館などを公開している。
(3)体験による広報
自衛隊は、民間企業などからの依頼を受け、体験入隊を行っている。その内容は、自衛隊の駐屯地や基地に2〜3日間宿泊し、隊員と同じような日課で自衛隊の生活や訓練を体験するものである。昨年度の体験入隊者は、約2万5,000人にのぼる。体験入隊に参加した人からは、部隊における規律正しい行動や厳しい訓練の一端に直接触れ、普段の生活では得ることのできない貴重な経験をしたとの声が数多く寄せられている。
また、青少年、大学生、20代の女性をそれぞれ対象とした自衛隊体験ツアー
8なども行っている。
(4)隊員による広報
全国に所在する駐屯地や基地の多くは、地元からの要請により、駐屯地や基地内のグラウンド、体育館、プールなどの施設を開放している。
また、駐屯地や基地に所在する部隊や機関の隊員は、市民や地方公共団体などが主催する様々な行事に参加するなど、地域社会に溶け込むよう努めている。さらに、部隊などに勤務する多くの隊員が、個人的にスポーツ競技の審判や指導員
9を引き受けるなどして、地元の人々との交流を深めている。
2)昨年12月に新宿アルタにて自衛隊のイメージビデオを放映した。
3)各自衛隊の音楽隊、儀じょう隊、防衛大学校学生などが出演する音楽イベント。毎年11月頃開催。
4)海上自衛隊は、1952(昭和27)年4月26日、海上保安庁の海上警備隊として創設されてから50周年を迎えた。
5)イベント情報については、防衛庁、陸・海・空自衛隊ホームページ及び各部隊のホームページからのリンク参照。
7)本年5月末現在、96,760人が来訪。
見学ツアーの問い合わせ先:防衛庁長官官房広報課
電話番号 03-3268-3111
(内線21904又は20303)
8)陸・海・空自衛隊の生活を体験するなどのツアー。
9)例えば、自衛隊隊員で構成するサッカーチーム(1部リーグ)厚木マーカスのメンバーは、サッカー指導も行っている。