第4章 より安定した安全保障環境の構築への貢献 

2 国際平和協力業務に参加する自衛隊の派遣態勢・体制の改善

 自衛隊が初めて参加したカンボジアの活動では、その準備や業務の実施に手探りの部分が多々あった。しかし、防衛庁・自衛隊は、その後の活動も含めて得られた様々な教訓を踏まえ、派遣態勢・体制に関して逐次改善し、国際平和協力業務に反映させてきた。

(1)派遣態勢の改善
 隊員が国際平和協力業務を円滑かつ適切に実施できるよう、例えば幹部自衛官などに対して平素から行っている教育において、国際平和協力業務の課目を新設するなど、逐次派遣前の教育訓練の充実を行なってきた。
 このほか、国連平和維持活動に豊富な経験を有する北欧諸国などの教育機関などに、派遣候補である幹部自衛官を派遣し研修を受講させている。
 なお、国際平和協力業務は、海外での勤務となることから、派遣される隊員の英語能力向上のため、例えば、各自衛隊の幹部自衛官などを対象に英語学習の自学研鑽を促すことなどを目的として、英語能力検定の受験機会を付与してきたところである。
 さらに、防衛庁・自衛隊は、PKOをテーマとした安全保障協議、国外訓練にも積極的に参加し、意見交換を行い、知識を吸収するなど、ノウハウの蓄積に努めている。

(2)派遣体制の改善
 国際平和協力業務に活用可能な装備品に関して、質的・量的な充実が図られた。例えば、現地での生活に必要な野外炊具、浄水セット、天幕などは性能向上が図られ、医療活動に必要な各種の器材、野外手術システムは逐年充足がなされており、国際平和協力業務に利用できる状況にある。
 また、国際平和協力業務のため部隊を派遣する際、現地司令部との緊密な意思疎通が重要となることから、部隊派遣に併せて司令部要員を派遣することとした。
 さらに、派遣中の隊員が後顧の憂いなく現地での活動に専念できるよう、隊員の留守家族などへの各種の支援業務(留守業務)の内容が逐年充実された。
 このように、自衛隊は、国際平和協力業務への参加実績を積み重ねるごとに、様々な改善を行い、より効率的・効果的な業務の実施に取り組んできた。

 
逆浸透膜を使用し水の浄化能力が向上した浄水セット(平成11年度から取得)

 
耐久性、居住性が改善されたフレーム天幕(平成4年度から取得)

 

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