各国との比較

　各国の国防費は、それぞれの社会経済体制や、例えば徴兵制(ちょうへいせい)であるか志願制であるかといった軍事制度、さらに、予算制度の違いがあり、一義的には把握できない。また、国際的に統一された定義もなく、公表されている国防費の内訳も明らかでない場合が多い。
　さらに、各国の国防費の比較にあたっては、それぞれの通貨単位を外国為替相場のレートによりドルに換算することが一般的であるが、この方法で換算した国防費は、必ずしもその国の物価水準に照らした価値を正確に反映するものとはならない。
　以上のようなことから、わが国の防衛関係費と各国が公表している国防費とをドル換算した上で、単に金額のみを比較することには限界がある。
　なお、各国の物価水準を考慮したレートとしては、各国でどれだけの財やサービスを購入できるかを評価した購買力平価をOECD:Organization for Economic Co-operation and Development(経済協力開発機構)が公表している。これを用いて、各国が公表する国防費をあえてドルに換算すれば、次の図表のとおりである(OECDが公表している購買力平価に関するデータが存在しないロシア、中国を除く。)。