第2章 わが国の防衛政策 

1 日米安全保障体制の意義

 わが国の第二次世界大戦後における繁栄と発展は国民の叡智(えいち)と努力の賜物(たまもの)であるが、それに加え、わが国が第二次世界大戦後、独立を回復するにあたって、自由と人権を尊重し、民主主義を基調とする自由主義諸国の一員としての道を選び、日米安保条約1を締結して米国との同盟関係を選択したことによるところも大きいといえる。
 冷戦終結後においても、宗教や民族などの対立に根ざす紛争やテロなどの新たな脅威が顕在化するなど、国際情勢は依然として不透明・不確実な要素をはらんでいる。また、アジア太平洋地域においても朝鮮半島における軍事的対峙(たいじ)や各国による軍事力の拡充・近代化に加え、国際テロリストの活動や大量破壊兵器、弾道ミサイルの拡散など様々な不安定要因が存在している。このような国際社会にあって、日米安保体制は次のような役割を果たしている。

 
日米安全保障条約にかかわる主な経緯



 
1)正式名称は、「日本国とアメリカ合衆国との間の相互協力及び安全保障条約」。


 

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