防衛施設は、自衛隊及び在日米軍の各種活動の拠点であり、自衛隊と日米安全保障体制を支える基盤として必要不可欠なものである。それらの機能を十分に発揮させるためには、防衛施設とその周辺地域との調和を図り、周辺住民の理解と協力を得て、常に安定して使用できる状態に維持することが必要である。
防衛施設は、自衛隊施設と在日米軍施設・区域に分けられ、その用途は、演習場、飛行場、港湾、宿舎など多岐にわたっている。
防衛施設には、飛行場や演習場のように、もともと広大な面積の土地を必要とする性格のものが多い。また、わが国の地理的特性から、狭い平野部に都市や諸産業と防衛施設が競合して存在している。特に、経済発展の過程において多くの防衛施設の周辺地域で都市化が進んだ結果、防衛施設の設置や、運用が制約されるという問題が大きくなっている。さらに、航空機の頻繁な離発着や射爆撃、火砲による射撃、戦車の走行など、その運用によって周辺地域の生活環境に影響を及ぼすという問題もある。
政府は、従来から、防衛施設の設置や運用に当たっては、国の防衛の重要性や防衛施設の必要性について国民の理解を求めている。また、次のような施策を行い、防衛施設と周辺地域との調和を図るよう努めている。
在日米軍施設,区域に係る諸施策としては、(1)沖縄に所在する在日米軍施設・区域の整理統合、(2)沖縄における施設,区域の使用権原の取得、(3)池子米軍家族住宅の建設、(4)岩国飛行場滑走路移設事業、(5)空母艦載機の着陸訓練場の確保などがある。
特に、95年1月の日米首脳会談において、沖縄に所在する在日米軍施設・区域の整理統合について日米双方が努力することとなったことなどを受け、那覇港湾施設の移設、読谷補助飛行場の返還については、速やかに日米合同委員会の承認を得て、地元との調整に入ることが適当であり、今後も問題解決に向けて協力をつづけていくことで、双方の認識が一致した。(第7図)