資料17 対米武器技術供与についての内閣官房長官談話

(昭和58年1月14日)

 一昨年6月以来米国政府から日米間の防衛分野における技術の相互交流の要請があり、その一環としての対米武器技術供与の問題について政府部内で慎重に検討を重ねてきた結果、この度、次の結論に達し、本日の閣議において了承を得た。

1 日米安保体制の下において日米両国は相互に協力してそれぞれの防衛力を維持し、発展させることとされており、これまで我が国は米国から防衛力整備のため、技術の供与を含め各種の協力を得てきている。近年我が国の技術水準が向上してきたこと等の新たな状況を考慮すれば、我が国としても、防衛分野における米国との技術の相互交流を図ることが、日米安保体制の効果的運用を確保する上で極めて重要となっている。これは、防衛分野における日米間の相互協力を定めた日米安保条約及び関連取極の趣旨に沿うゆえんであり、また、我が国及び極東の平和と安全に資するものである。

2 政府は、これまで武器等の輸出については武器輸出三原則(昭和51年2月27日の武器輸出に関する政府方針等を含む。)によって対処してきたところであるが、上記にかんがみ、米国の要請に応じ、相互交流の一環として米国に武器技術(その供与を実効あらしめるため必要な物品であって武器に該当するものを含む。)を供与する途を開くこととし、その供与に当たっては、武器輸出三原則によらないこととする。この場合、本件供与は日米相互防衛援助協定の関連規定に基づく枠組みの下で実施することとし、これにより国際紛争等を助長することを回避するという武器輸出三原則のよって立つ平和国家としての基本理念は確保されることとなる。

3 なお、政府としては、今後とも、基本的には武器輸出三原則を堅持し、昭和56年3月の武器輸出問題等に関する国会決議の趣旨を尊重していく考えであることは言うまでもない。

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